(中) OPPO v. Nokia 重慶判決を巡る議論 Criticism against "FRAND" Judgement
- 二又 俊文
- 2023年12月26日
- 読了時間: 2分
OPPO v. Nokia重慶判決について多くの記事が出ているが、2つのブログを紹介する。
1)Mark Cohen氏の判決批判
2023/12/18付
Oppo v. Nokia in Context
Mark Cohen(カリフォルニア大バークレイ校シニアリサーチャーで米国上院知財委員会でも証言するなど米国IP業界でも影響を有する中国通の知財エクスパート)氏は今回の重慶第一中級人民法院の判決に対しいくつかの疑問を提起している。全文は同氏ブログリンクを参照されたい。
特許法に根拠を持たずに、ある国に対して他国と比べて低廉なロイヤルティ率を設定することは、特定の国における損害賠償額を低くすることで、特許を主張する当事者に最恵国待遇を与えることになる。TRIPS協定にも抵触する。
中国市場で中心の安価なスマホは、高級機と異なり(付加機能がなく)より通信技術に依存するため、中国向けの低廉なレートを定めるのは妥当でない。
不当に低いレートは特許侵害への抑止力にならない 等。
また判決が多くの伏字で、判旨を理解しづらいので早期に判決が公開されるべきとしているが、中国の裁判所での判決の公開率は半分程度なので今回の判決もこのままで終わるかもしれないと苦言を述べている。同氏の最大の批判のポイントは、FRANDという国際的な概念を、中国流の解釈という方法で矮小化しており、FRANDはそもそも中国のものであるかと批判となっている。
2)LightReading誌の解説記事
12月19日付
Nokia to appeal Chinese court's 'global' 5G ruling
ノキアは控訴をする
裁判所は5Gレート を算出するにあたりTOP Down方式を採用しているが、全体累積ロイヤリティを4.341%と5.273%として、そこからNokiaのレートを算定している。
一台$1.151/$0.707をノキアが受け取るロイヤリティとしている
OPPOはドイツ、英国での敗訴を受け、それぞれの市場から撤退している
しかし、OPPOにとりインドは大きな市場であるが、インド高裁はOPPOに現地売上の23%の保証金をデポジットするように命じている。
2つの補足記事とあわせて忘れてはならないのは、今回の重慶判決はあくまでOPPOがノキアに支払うロイヤリティの話で、逆にノキアがOPPOに対して支払わねばならないロイヤリティについては何ら言及していない。
今後、多くのSEPを有するOPPOがノキアに対して中国で侵害訴訟を行い勝訴した場合、ノキアはOPPOに対する支払い義務が発生することになるだろう。
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