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(中)知財権の濫用に関する独占禁止運用規定発表 Chinese SAMR announced new Regulation

更新日:2023年7月7日

(訂正とお詫び)中国よりSEPが関係する2つの法令が同時に発表されたので合わせて記載したが、正しくは「知財の濫用に関する独占禁止法規定」が8月1日より施行されたことと、もう一つは「SEPに関する独占禁止法ガイドライン」が発表され、それに対する意見募集が今回開始されたことがあります。二つの法令を2回のトピックに分けて掲載します。


トピック1 「知的財産権の濫用によって競争を排除・制限する行為の禁止に関する規定」の公布(8月1日施行)Chinese SAMR regulated the “Provisions on the Prohibition of the Abuse of Intellectual Property Rights to Exclude or Restrict Competition”


昨年8月1日に改正独占禁止法が施行されこれまで注目を集めてきましたが、その下位規定である「禁止滥用知识产权排除、限制竞争行为规定」(2023年6月25日国家市场监督管理总局令第79号公布 自2023年8月1日起施行)が、意見募集の手続を終え発表されました。

本規定のなかでSEPの関連条項は9条、17条、18条、19条であり、中国のSEPに関して厳しい施策を取りうる可能性が見える。またSEP 関連ではパブコメ版との変更点としてはパテントプールへの規制(17条)にあらたな内容が加えられており(下線で表記)(注)、踏み込み込んだ内容に見える。今回の規定はSEP権利者には一見厳しくみえるが、一方で中国企業において従来のようなSEP実施者一辺倒から多くの強力なSEP権利者が誕生する転換期で、具体的に今回の規定が適用されるか非常に興味深い。

 (注)前JETRO香港松本部長(現特許庁)よりご教示いただいた。


中国事情に詳しい小野寺良文弁護士(森・濱田松本法律事務所)からの情報

<引用>

昨年8月1日からパブコメを経てSAMR中国国家市場監督管理総局(SAMR, the State Administration of Market Regulation)は、6月25日、「知的財産権の濫用によって競争を排除・制限する行為の禁止に関する規定」を公布し、8月1日から施行することを発表しました(中国語の原文を添付します。)。同規定は、2015年8月1日施行の「知的財産権の濫用による競争行為の排除・制限の禁止に関する規定」を改正するもので、2022年8月1日に意見募集稿が公表され意見募集されていたものです。SEPに関連する条文は、第9条、17条~19条と 思われ、その仮訳は以下のとおりとなります。


第九条 市場における支配的地位を有する経営者は、知的財産権を行使する過程で、不公平な高値で知的財産権をライセンスし、又は知的財産権を含む製品を販売し、競争を排除・制限してはいけない。

前項の行為を認定する場合に以下の要因を考慮できる。

(一)当該知的財産権の研究開発コスト及び回收周期;

(二)当該知的財産権のロイヤリティ計算方法とライセンス条件;

(三)当該知的財産権の比較できる過去のロイヤリティ履歴またはロイヤリティの標準;

(四)経営者が当該知的財産権ライセンスに対する約束;

(五)考慮すべき他の関連要因。

第十七条 経営者は、知的財産権を行使する過程で、パテントプールを利用して競争を排除・制限する行為を行ってはいけない。パテントプールのメンバーは、価格、生産量、市場区分などの競争に関する敏感な情報を交換し、『独占禁止法』第十七条、第十八条第一項、第十九条で禁止される独占協定を締結してはいけない。一方、経営者が締結した協定が『独占禁止法』第十八条第二項第三項、第二十条の規定を満たしていることを証明できる場合は、この限りではない。支配的市場地位を有するパテントプール主体又はパテントプールのメンバーは、パテントプールを利用して、次のような支配的市場地位濫用行為を実施し、競争を排除・制限してはいけない。

(一)不公正な高い金額でパテントプールの特許をライセンスすること;

(二)正当な理由なく、パテントプールのメンバー又はライセンシーの特許使用範囲を限定する;

(三)正当な理由なく、パテントプールのメンバーがパテントプール以外で独立するライセンサーとして特許をライセンスすることを制限すること;

(四)正当な理由なく、パテントプールのメンバーまたはライセンシーが独立してまたは第三者と共同してパテントプールの特許と競争する技術を開発することを制限すること;

(五)正当な理由なく、ライセンシーに、その改進または研究開発した技術を排他的にまたは独占的にパテントプール主体またはパテントプールのメンバーにライセンスバックすることを強要すること;

(六)正当な理由なく、ライセンシーがパテントプールの特許の有効性を疑問視することを禁止すること;

(七)正当な理由なく、競争性の特許を強制に組み合わせてライセンスし、または非必須特許、期限満了の特許と他の特許を強制に組み合わせてライセンスすること;

(八)正当な理由なく、同じ条件のパテントプールのメンバーまたは同じ関連市場のライセンシーに対して取引条件に差別待遇をすること;

(九)市場監督管理総局が認定したその他の支配的市場地位濫用行為。


本規定にいうパテントプールとは、二つ又は二つ以上の経営者がそれぞれの特許をプールメンバーまたは第三者に共同でライセンスすることを指す。パテントプールの各当事者は通常、パテントプールの管理をプールメンバーまたは独立した第三者に委託する。具体的な提携方法としては、協定の締結、会社又は他の主体等の設立等が挙げられる。


第十八条 経営者は、正当な理由なく、知的財産権を行使する過程で、標準の策定と実施を利用して次の独占協定を締結してはいけない。

(一)競争関係にある経営者と連携して特定の経営者が標準策定に参加することを排斥する、または、特定の経営者による関連標準技術案を排斥すること;

(二)競争関係にある経営者と連携して他の特定の経営者が関連標準を実施することを排斥すること;

(三)競争関係にある経営者と、他の競争的標準を実施しないよう約定すること;

(四)市場監督管理総局が認定したその他の独占協定。


第十九条 支配的市場地位を有する経営者は、標準の策定と実施の過程において、次のような行為を行って、競争を排除・制限してはいけない。

(一)標準の策定に参加する過程で、標準団体の規定に従ってその権利情報を開示しない、または、その権利を明確に放棄したにもかかわらず、ある標準が当該専利に係るものであると当該標準の実施者に対してその特許権を主張すること;

(二)その特許が標準必須特許となった後、公平・合理的・非差別的なライセンスの原則に背き、不公平な高値でライセンスするか、正当な理由なくライセンスを拒否し、商品を抱き合わせ販売し、または他の不合理な制限条件を付加し、差別待遇をすること;

(三)標準必須特許のライセンス過程で、公平・合理的・非差別的なライセンスの約束に背き、善意の交渉手続きを経ずに、不当に裁判所または関連部門に関連知的財産権の使用を禁止する判決、裁定または決定を下すよう請求し、ライセンシーに不公平な高値、またはその他の不合理な取引条件の受け入れを強要すること。

(四)市場監督管理総局が認定した他の支配的市場地位を濫用する行為。

本規定にいう標準必須特許とは、当該標準を実施するために必要不可欠な特許を指す。


以上引用終わり


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