<知財学会報告>3年後のSEP 若手知財人大いに語る(パネル)IPAJ Panel event, SEP's future in 3 years.
- Tohru Yoshioka-Kobayashi
- 2020年12月1日
- 読了時間: 3分
更新日:2020年12月8日
日本知財学会 第18回年次学術研究発表会(2020年11月29日)において、SEP研究会のメンバーがパネリストとなり、企画セッション「将来の標準必須特許(SEP)~若手知財専門家の視点から~」を開催し、3年後のSEPライセンスの仮想シナリオ、及び、それに備えた人材像について議論を行いました。
登壇者は以下のとおりです(敬称略)。
【パネリスト】
ソニー株式会社 知的財産センター 知財リスクマネージメント部 川村 槙子
KDDI株式会社 知的財産室 知財渉外グループ 課長代理・弁理士 中井 祐樹
阿部・井窪・片山法律事務所 弁護士 松田 世理奈
モリソン・フォースター法律事務所 弁護士 稲瀬 雄一
【コメンテーター】
東京大学 未来ビジョン研究センター 客員研究員 二又 俊文
本田技研工業株式会社 地域事業企画部 ビジネスアナリティクス課 原 寛和
【モデレーター】
一橋大学 イノベーション研究センター 講師 吉岡(小林) 徹
1.SEP議論の中ではまず現状の特徴として、
無線通信技術の社会・産業のインフラとしての役割の増大
プレーヤーの多様化、プレーヤーの変化の速さ、ビジネスモデルの変化の速さ、ビジネス同士の繋がりの複雑さの増大(とくにソフトウエア化の影響によるもの)
各国の司法・行政の動き、中でもスピーディーな判断を行う国(ドイツ、中国)の影響
が指摘されました。
2.今後(そのような背景があるなかで)
権利者側からのロイヤリティの透明化の動きと、とくに一次サプライヤーが起点となった相場観の形成が進む可能性
さらなる国際的なルールの形成の進展(同時にフレームワークを巡る国際的な対立関係の増大)の可能性
が3年後のシナリオとして挙げられました。合わせて、これらの動きの中で、何のための標準であるかを考えることでプレーヤーを超えた共通の方向性が模索できることの重要性も指摘されています。
3.このようなシナリオに対して求められる人材像として
原理原則に立ち返りルール形成ができる人材
セクターを超え、異なる立場、異なるビジネスモデルを理解した上で、俯瞰できる人材
国際的にルール形成のイニシアティブを取ることができる人材
それらの人材が創造的に活躍できる組織のマネジメント
の重要性が指摘されました。これは産業界の知財人材、知財専門職、そして裁判所それぞれへの挑戦課題として提示されています。このセッションでは、自らの力でSEPライセンスに向き合っていくために何が必要かを明らかにできたように思います。
※上記のサマリーは、モデレーターである吉岡(小林)徹の責任においてまとめたものであり、登壇者の所属組織の立場を表すものではありません。
Photo: Source WIX
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