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サイバー創研5G SEPレポート発表  5G SEP Report by Cyber Soken

更新日:2021年11月19日

11月8日 日本のデータ分析会社サイバー創研が5Gの最新レポート(第3弾)を発表したので紹介する。※11月18日(2)部分の説明をサイバー創研の指摘で修正した。


「サイバー創研、「5G-SEP宣言特許の整合性」を評価(第3弾)、評価結果を販売~5G-SEPの保有数を推定、順位が大きく変動~」


<ブログ解説>

世界のどの企業が5Gをリードしているかをみる重要な物差しに「SEPの保有数」がある。しかし、「SEPの保有数」の引用には注意がいる。国内でもさまざまな議論(たとえば総務省で進めるビヨンド5G、いわゆる6GプロジェクトでSEP保有シェアで10%以上の確保を目標としている)あるいは企業間でのライセンス交渉で企業が自社に有利な数字を挙げ優位を主張する。

「SEP保有数」はきわめて重要な数字であるので以下整理する。


「SEPの保有数」は一つしかない。すなわち増加してゆくSEP(5Gで4万ファミリーと言われる)を刻々と追いながら、それを専門家が全数評価することで可能となる。作業工数でも最短でも5年以上かかるであろう)。したがって、現実的にはさまざまな方法で保有数の推定が行われる。


保有数の推定の仕方には3つのアプローチがある:

(1)標準化段階で標準化団体に必須宣言された数字(必須特許宣言数

  5Gで標準化を行う標準化団体ETSIのデータベースにFRAND宣言をして登録されたもの。特許番号とその特許がどのように標準規格と合致しているかを記載して届け出る。

(2)(1)のうち各国特許庁で権利化できたもの(必須特許宣言をしたもので登録となった登録特許数

  各国特許庁のデータベースで特許登録されたものはトレースできる。

  欧州の調査会社は登録特許で見るが、日本のサイバー創研は「重要技術分野での登録および出願特許」という特殊な方法をとる。

(3)(2)からサンプリングを行い、技術的に登録特許のクレームが標準規格における規格と合致すると認められるものの比率(整合率)を出し、SEP保有数を推定する(推定SEP保有数

 整合率とは登録特許と標準規格の合致性をデータ分析会社の技術専門家が分析した結果の数字。この場合でも登録特許をすべて対象とする場合と、特定の標準規格分野での登録特許を対象とする方法がある。サイバー創研の手法は後者。サイバー創研はできるかぎり技術的に関係しそうな特許を広めに拾いたいとのこと。

 (補足)この3つ以外に標準化段階での寄書(contributions)の件数を考慮すべきとの意見もある。


ここで重要なことは

①ETSIにおける必須宣言特許(1)がかならずしも実際に標準必須特許とは限らない。つまり裁判で最後まで争った場合、特許のクレームが標準規格と合致していないことはよくある。

②しかし、最終的に標準必須特許として生き残るものは、かならず必須宣言されているはず

②権利化段階で標準規格自体が変更されることは多く、その過程で登録特許と標準規格が乖離する場合も少なくない。この場合には登録特許はもはやSEPとは言えない。

③標準規格の技術範囲も広く、標準必須特許としての検証をすべての技術規格で網羅的にみることも実務的には膨大な作業のためTS(Technical Specifications)から、特定の有力な技術規格にしぼり照合を行いこともありえる。たとえば今回のサイバー創研の資料は(1)はETSIデータベースそのままであるが、(2)については各国特許庁での登録件数をすべてあげているわけではなく、「5Gを支える主要な技術」とサイバー創研がみなした重要技術分野(RAN TS38系、SA TS23.501-TS23.503)該当する特許とのみ標準規格との整合だけを見ている。


サイバー創研の発表を整理してみた。



整合率について

今回のサイバー創研レポートでは、サイバー創研がピックアップした主要技術分野における登録特許から約10%にあたる2,166件をサンプリングした上、標準規格と合致しているか見て「整合率」を各社ごとに算定している。その各社別整合率を登録特許件数(2)に掛けて各社のSEP保有数を推定している。

この手法でもいくつかの課題が残る。サンプリングは登録特許から行われており、未登録のものは除外されているので問題ないが、主要技術分野における登録特許のみを対象として分析している。特に5Gの特性で規格が技術的に「横広がり」になってきていることを考えるとそれほど割り切っていいのか気になる。また特許と標準規格との合致照合作業は少数の技術者が行なっているが、JPOの判定の実証や、欧州委員会のEssentiality test projectでは特許庁審査官も交え、相当苦労しながらの照合作業となっている。技術者のスキルと経験など、多くの実証事例で比較しながらsecond opinionも使い、検証を行わないと精度が担保できない。

Essentiality test については欧州委員会も課題として重視しており、各国の有力調査会社(ドイツIPLYTICS、英国PA Consultantほか)もそのプロジェクトに参加しており、今回のサイバー創研が独自に行った照合についても、課題が残ることを認識しながら利用すべきであろう。


NTTドコモのSEP保有数について

シェアをみると、(1)では4.3%, (2)では5.5%, (3)では9.4%となっている。

整合率のフィルターを経るとドコモの特許の保有率は著しく高くなる。これはドコモの「整合率」が他社平均33%に比べ73%と極めて高いからで、より少ない件数でも多くのSEPを保有するということになっている。確かにドコモの特許はレイアーが低い通信プロトコル中心であるため、上位レイヤーの特許にくらべ、かなり整合を認定しやすい、あるいは特許出願で標準との合致性について他社より経験・実績がある可能性はあるなど考えられるが、特定の数社で整合率が突出して高いことについては、各国のデータ会社や、各国裁判で争われた結果での必須性テストの結果と比較検証すべきであろう。また、SEP保有数も全体として新しいSEPがレイアー1から急速に上位レイアーに移行しているなか、レイアー1にほとんどのSEPを保有するNTTドコモは苦しい戦いを今後強いられるのではなかろうか。


最近の関連参考記事

英国のデータ会社PAコンサルタントでの発表(2021−04−28)

Nokia, NTT Docomo, Qualcommを筆頭にLG, Samsung, Huaweiがつづくとしている。


ドイツのデータ会社IPLYTICSの発表(2021-11-03)


ノキアのプレスリリース(2021−11−11)

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Photo: Unsplash Ruthson Zimmerman

 
 
 

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