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中国における判決データベース Database of Chinese Judgement

中国における判決の判決文・判旨について現地専門家筋によると相当数が未公開にとどまっているとも言われる。とくに国際的な影響も大きいたとえば2021年の「禁訴令」(いわゆる並行訴訟禁止命令)判決のようなSEP判決について同様であり、EUはその問題を2022年WTOに提訴しその協議が続いている。海外の関係者にとっても判決文の入手が困難な状況に以前から不満の声が強かったが、そのような批判のなか中国における判例データベース公開の動きが少しづつ進んでいる様子である。


今回SEP判例に関する情報公開について前JETRO香港の松本要部長より最新の状況を教示いただいた。


たとえば日本企業関連の判例の一つで、旧日立金属(プロテリアル)事件の判例(ライセンス拒否を巡る独占禁止法事案で旧日立金属が逆転勝訴した事案)について、その後最高法院の中国裁判文書網(China Judgements Online)にも掲載されていることが判明した。wenshu.court.gov.cn

このOnlineには現在15万件の判決が収録されていると記載されているが、そこに判決全文と判旨の二つの記事があった。

(2021)最高法知民終1398号、2023年12月14日判決。全16ページ。

同判旨、2024-13-2-184-001 全3ページ


さらに最高人民法院は「人民法院案例書」データベースをオープンしており、全文を掲載している文書網に加えて、指導的な判例の概要を検索できるようにしたのが案例庫のようである。https://rmfyalk.court.gov.cn/


さらに松本氏より下記の情報をいただいた。

「2月22日、中国最高人民法院知財法庭成立5周年100件典型案例が発表された。SEP関連では、OPPO対シャープ事件、OPPO対SISVEL事件など少なくとも5例が選ばれている

(下記24,25,86,87,90)。

また、特許ライセンスに係る独禁法関連でプロテリアル(旧日立金属)が逆転勝訴した事件(同83)も取り上げられた。プロテリアル事件の判決文は、前日となる2月21日付で「中国裁判文書網」(https://wenshu.court.gov.cn/)に掲載され、また、2月27日に「文書網」(https://rmfyalk.court.gov.cn/)とは別に新設された「人民法院案例庫」にも、同事件の判決概要が掲載された。なお、「案例庫」は中国の指導的判決の概要をまとめたデータベースである。



プロテリアル事件については、「関連技術市場の画定と市場支配的地位の力量の認定」に関する判例として掲載された。判決文を参照すると、第二審の最高法院判決では、関連市場の画定について、特許権者が有する特許の「必須特許ライセンス市場」が独立して存在することについて、中国企業側が非侵害に主張を行ったことによる矛盾や技術的・状況的(ライセンスを受けていない他の中国企業の輸出状況や米国等他地域の紛争状況等)焼結NdFeB磁石な必須性(回避可能性)の欠如から立証できないとした。また、市場支配的地位については、当該磁石製品市場における特許権者のシェアが高くないこと、技術的・商業的に代替不可能でないことから、それを有さないとして、一審を覆した。


5つのSEP関連判例

24.西電 v. SONY

涉“WAPI”通信方法发明专利侵权案:西安某无线网络通信公司与某电脑贸易(上海)公司、西安市某电器公司侵害发明专利权纠纷〔(2022)最高法知民终817号民事判决书〕


25.宁波路某科技

“桥梁伸缩缝装置”标准必要专利侵权案:徐某、宁波路某科技实业集团公司与河北易某橡胶制品公司、河北冀某路桥建设公司侵害发明专利权纠纷〔(2020)最高法知民终1696号民事判决书


83.旧日立金属

涉“稀土永磁材料专利”滥用市场支配地位案:宁波四磁业公司与日本某金属株式会社滥用市场支配地位系列纠纷〔(2021)最高法知民终1398、1413、1449、1482号民事判决书〕


  1. OPPO v. Sharp

“OPPO与夏普”标准必要专利许可纠纷管辖案:某通信公司、某通信公司深圳分公司与日本夏某株式会社、日本赛某株式会社标准必要专利许可纠纷管辖权异议〔(2020)最高法知民辖终517号民事裁定书〕


  1. OPPO v. Sisvel

“OPPO与SISVEL”涉标准必要专利滥用市场支配地位纠纷管辖案:某通信公司、某通信公司深圳分公司与西某国际公司、西某香港公司滥用市场支配地位纠纷管辖权异议〔(2020)最高法知民辖终392号民事裁定书〕


90.展某通信(上海)

涉“Wi-Fi”标准必要专利侵权案:展某通信(上海)公司与翱某科技公司侵害发明专利权纠纷〔(2022)最高法知民终2040号民事裁定书〕

(以上)」

 
 
 

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