top of page
検索

(中)最高人民法院公表「独占禁止法・不競法十大事件」にSisvel v. OPPO事件(Sisvel敗訴)SPC's Top10 Antitrust cases:Oppo v. Sisvel

更新日:2021年11月15日

2021年11月8日ブログ。

2021年9月27日中国最高人民法院が「独占禁止法・不競法十大典型事例」を発表した。http://www.court.gov.cn/zixun-xiangqing-324491.htmls その中にSEP関連の注目判例が含まれる。判決文の全文の日本語訳をBLJ法律事務所遠藤誠弁護士から提供いただいたので合わせて参照いただきたい。文末にPDFファイルをつけます。

十大判決に取り上げられたのは2020年12月28日最高人民法院判決のSisvel v. OPPOの市場支配的地位の濫用事案(2020)最高法知民辖终392号である。この事案のポイントは、広州法院での裁判管轄権の存在とSisvel の支配的地位の濫用が認定されるまでの理由づけである。





裁判管轄権の存在について、欧州での先行裁判の事案との「重複訴訟」を構成するか、OPPO本社の広東省東莞で権利侵害結果の発生が起きており、「管轄連結点」があり、(中国の)独占禁止法の域外適用が認められるとしたほか、Sisvelの行為は提訴権の濫用が裁定された。この裁判管轄権については先行判例としてSharp v. OPPOの事案があるが、本判決でさらに最高人民法院による「民事訴訟法」の適用に関する解釈」532条に定められた不便宜法廷地の原則(Forum Non Conveniencs)において、6つの要件がすべて満たされて初めて管轄権が認められるとして、規範の当てはめをおこなっているところが注目される。

この判決はSisvelが保有するSEP特許のライセンス交渉でOPPOに対して不当に高いロイヤリティを要求するなど支配的地位を濫用しているとして、OPPOが2019年9月広州中級人民法院に提訴し、翌年2020年7月6日広州知識産権法院の民事裁定(2020)粵73民初451号および2020年7月14日民事裁定(2020)粵73民初451号の一としてOPPOが勝訴したが、それを不服としてSisvelが上告した事案である。


(訴訟の背景と経過)

OPPOは2018年から欧州での販売を開始しているが、SisvelはOPPOがライセンス交渉に応じないことから、2019年4月OPPOを相手取り、英国、オランダ、イタリアで特許侵害訴訟を提訴した。しかし、オランダではSisvelの特許の無効が言い渡されてSisvelの差止は認められなかった。英国ではSisvelは2019年6月4日に提訴したが、2021年4月に英国High CourtではSisvelの別の特許は非侵害とされた。

これらの動きと並行して、OPPOは2019年9月に広州法院にSisvelの提示レートは高額でFRANDではないとしてFRANDロイヤリティレートの設定を求める裁判を起こした。さらに2019年12月にはOPPOはSisvelの独占禁止法違反も提訴した。この2つの訴訟提起に対して、Sisvelは裁判管轄権の異議を争った。Sisvelは敗訴したことで、OPPOは有利な条件でSisvelとライセンス契約を締結することができた。

(参考リンク)裁判進行日程の詳細は中国側資料を参照したhttps://xgapn.com/xgnews/xgnews-oppo-reached-a-settlement-with-sisvel-to-end-the-global-patent-litigation/

OPPOは2021年6月30日現在すでに5万8千件の特許を出願しており、すでに3万件は登録されたと発表している。

 
 
 

Comments


© SEP Research Group in Japan created with Wix.com

bottom of page