(米) IEEEパテントポリシー改訂へ動くIEEE new patent policy announced
- 二又 俊文
- 2022年10月7日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年12月6日
SEPに於いて規格策定団体(SSO)の定めるパテントポリシーは重要な意義をもつ。米国SSOでWiFi規格で中心的な役割を果たしているIEEEがそのパテントポリシーを2023年1月1日をもって改訂することを今回発表した。IEEEパテントポリシーについては従来より議論が噴出していたが、昨秋に会員への意見募集が行われていたもののその後発表がなかった。今回の突然の改訂発表に関係者に驚きが広がっている。https://standards.ieee.org/news/archive-2022/ieee-announces-decision-on-its-standards-related-patent-policy/
発表によれば当該ポリシーを構成する3つの文書で改訂が行われた。
IEEE SA Standards Board Bylaws updates
IEEE SA Letter of Assurance (LOA) form proposed updates
Patent policy FAQs proposed updates
各Updateには変更箇所がハイライトしながら明示されている。特に注目されるのは差止めに関する部分、FRANDレートに関する部分である。
一見さりげない改訂にも見えるが実は8年の時を経て、米国と欧州でのSEPを巡る流れが収斂していることを示している。米国知財専門誌IP Watchdog (9月30日記事)は「パテントホールドアップ神話の終焉」「新時代の始まり」と評している。https://www.ipwatchdog.com/2022/09/30/ieee-approves-pro-patent-holder-policy-updates/id=151824/
IEEEでこれまで影響力を行使していたAPPLEなどの実施者陣営には打撃となったと見られる。
今回の改訂の経緯:2015年3月15日発効したIEEEパテントポリシーは、Reasonable Rateの定義で、レートの基礎をSSPPUとし、かつプロポーショナリティを基本とし、いささかでも差止リスクの存在するなかでのレートはcomparable licenseとして認めないなどの規定を織り込んでいた。この実施者寄りのパテントポリシーはIEEE幹部会で独断的に決定されたため、SEP権利者側の反発は強く、2015年ポリシー以後相当数のSEP権利者がこのポリシーを忌避し、IEEEに新ポリシーの制約を受けるLOA(Letter of Assurance)を提出しなくなっていた。IEEEはその後2019年6月以降は旧IEEE改訂前にあった旧LOAでの必須特許宣言を認めることとしたため事態は変則的ながらも収拾された。
この間IEEEで起きた経緯は文末の論文(福岡則子、日本知財学会誌Vol.17 No.3 2021, P.57-65。本ブログ下部にPDFで引用)に詳述されている。

その他関係ブログ
FOSSブログ2022年5月12日
一方IEEEで2015年ポリシーを強力に支持してきたAppleなどの実施者にとっては今回の改訂は大きな敗北といえる。 Apple and other WiFi implementers pressuring IEEE not to abandon its 2015 patent policy--but serious impact of negative Letters of Assurance can't be denied
福岡論文(日本知財学会誌SEP特集号)2021年3月「標準と知財のバランス〜標準化団体におけるIPR Policyを巡る対立と議論から見えるもの」
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