米Netgear社がファーウエイを独禁法違反で提訴 Netgear sues Huawei in US antitrust case
- toshifutamata0
- 2024年2月9日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年2月10日
Wi-Fi 6(802.11ax)の分野は市場も広範で汎用性も高い分野である。
その市場をめぐり今年1月30日米国ルーター市場ではトップクラスのNetgear社がファーウイとのWiFi6(注1)を巡るライセンス交渉の決裂からファーウエイを独禁法違反でカリフォルニア中部地裁(Case 2:24-cv-00824)に訴えた。Netgearは米国サンノゼに本社を置くネットワーク機器を製造販売する企業である。
(注1) WiFi6(IEEE 802.11ax) WiFi5の1.4倍と高速。OFDMA準拠で混雑に強い。ファーウエイはOFDM準拠のWiFi規格づくりに熱心だった。
訴状
https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/myvmkkgxwvr/NETGEAR%20HUAWEI%20LAWSUIT%20complaint.pdf
米国の訴状にはシャーマン法2条の他、およそ知財係争では見ることがない(銀行強盗犯罪などで使われる)連邦RICO法における「エンタープライズ」の認定も求め、ファーウエーが法外な要求を組織的に突きつけているとした主張を述べている。昨今の米中緊張を背景として政治問題化して有利に訴訟を追行しようとの戦略であろう。しかし、米国で類似の主張が認められた先例はないので苦しい訴訟追行ではないかと業界筋では見られている。WiFi6のライセンスをめぐっては、ファーウエイはロイヤリティを1台あたりUS$0.50で発表しているほか、現在ファーウエイも加入するパテントプール(注2)がSisvelによって運営されている。
(注2)Sisvel Patent Pool におけるロイヤリティは
For Enterprise Access Points, Compliant rate US$3.00,
For all other products US$0.50
ファーウエイはこの米国での訴訟に先立ち、2022年春にドイツでアマゾン、AVM、Netgear、ステランティスなど数社を相手にWLAN特許訴訟を提訴し、 2023 年 11 月 10 日にはミュンヘン第 1 地裁で 独AVM 社に対する差し止め判決を獲得した。ベルリンに本社を置くAVM社はドイツにおいてWIFIルーターで7割のシェアを占めておりその打撃は大きかったが、その後もAVM側が執行に応じていないとして罰則適用をファーウエイは今年1月に申し立てている。
Huawei v. 米Netgear社の訴訟は次のとおり:
• デュッセルドルフ地方裁判所、事件番号 4c O 8/22、係争中の特許 EP3337077 (2022 年 3 月 2 日に申し立て)
• デュッセルドルフ地方裁判所、事件番号 4c O o/22、係争中の特許 EP3143741 (2022 年 3 月 2 日に申し立て)
• 済南市中級人民法院、事件番号 (2022) Lu 01 Zhi Min Chu No. 407、係争特許 ZL 201811536087.9 (2022 年 5 月 10 日に申し立て)
• 済南市中級人民法院、事件番号 (2022) Lu 01 Zhi Min Chu No. 408、係争特許 ZL 201810757332.2 (2022 年 5 月 10 日に申し立て)
• 欧州統一特許裁判所ミュンヘン地方部、事件番号: 459771/2023、係争中の特許 EP3611989 (2023 年 7 月 3 日に申し立て)。 延長されている
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