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(米独)SEP関連 国際シンポジウム出張報告  SEP related symposium in US and Germany

更新日:2022年7月12日

6月にSEPに関連するシンポジウムが米国シカゴとドイツミュンヘンで開かれ、この会議に日本から出張参加された業界関係者より感想メモをいただいたので匿名で紹介する。これは参加者の個人的感想であり、同会議の正式な議事内容を記述するものではありません。

1)IPBC Global (Chicago)

  • 米国シカゴで開かれたIPBC GlobalでSEPが話題として議論された。

  • IPBC Global https://ipbc.iam-media.com/event/d650a210-f6d3-422a-9717-3b20c09ba72d/summary

  • 日時: 6月12日〜14日  場所:Marriott Marquis Chicago 

  • 参加者:600名(主催者発表)

  • 主なプレゼンテーション・パネラー:Mkan Delrahim(Latham & Watkins), Andrei Iancu(Parner, Irell& Manella LLP), Laura Quatela(Senior VP, CLO, Lenovo), Shayne O`Reilly(Head of Licensing and Open Source, Meta), Changhae Park(CIPO, NXP), Fabian Gonell(Qualcomm), Steven Geiszler(Huawei) ,Patric Patnode(GE), HP, Acacia, Uber, Philips, Ericsson, Sisvel, InterDigital, IV, Ericsson, Volvo, Dolby, RPX, Marconi, Sony, IBM, Xerox, Ocean Tomo etc. (web pageより)

  • Day 2 “The state of play”パネル

  • Makan Delrahim(前DOJ反トラスト局長)とAndrei Iancu(前USPTO長官)の両名が登壇。ともに、SEPも他の特許権と同様で契約法以外のSEPへの追加規制には反対というポジションを基調としつつ、今回のDOJ/USPTO/NISTのSEPポリシーの撤回を好意的に捉えていた。具体的には、DOJ/USPTO/NISTの2019 Statementではcase-by-case approachが確認されていたが、今回の2019PS撤回を発表した文面でも、個別具体的な事案に応じて政府としてSEP案件に対処していくことが確認されていることから、現政権のスタンスは2019 Statementの内容と何ら変化がないとの説明がなされました。これにモデレータのDan McCurdy(RPX)からは「であれば、なぜ2019年PSの復活ではなく撤回withdrawalなのか?」と質問があるも、この点についてはDelrahim氏/Iancu氏ともお茶を濁すのみだった。同じパネルのNoreen Kralls氏(元Apple)は、SEPにinjunctive reliefは認められるべきではないというポジションで、社内の経営層への説明という観点からは、米国政府のSEP権利行使に関するポリシーの明確化が必要と主張した。この発言に対しては、Iancu元長官より、政府によるSEP権利行使政策では個別事案の調査権限が限られ、包括的なポリシーとならざるを得ないので、具体的な事案に応じて裁判所や競争法当局がSEP権利者による権利行使を判断すべきとのコメントがあった。

  • Day 2 “Managing IP risk”パネル

  • JP Morgan Chase、Accenture、HP、NuCurrentの知財責任者より、経営層へのIPリスク説明時の苦労や勘所の紹介があった。各社より、レクチャー形式ではなく経営層に伝わりやすいような用語を使用し、単発ではなく継続して取り組むことの重要性などが紹介された。パネルの議論が特許保証や補償義務に及んだ際、聴衆も巻き込んで会場が多い盛り上がり、各社のindemnity条項に対する日頃からの関心の高さを結果となった。契約締結後の補償条項に基づく交渉や紛争を経験した者にindemnity条項は起案させるべきなどのテップスのほか、NuCurrentのJayKnobloch氏からは「IPをproductと捉え、性能保証と同様に第三者特許権侵害リスクについてもNuCurrentではエンドユーザーにかわって第三者のライセンス処理している」との紹介があり、リスク転嫁としてツールとしてではなく、indemnity条項を駆使し、知財部門がビジネスに貢献できる場面の紹介もあった。

2) 7th IP & Competition Forum(ミュンヘン:https://www.oxviews.com

  • 6月21日 独占禁止法関連シンポジウム(by Concurrences)

  • 自動車業界、ICT業界、IT業界の関係者の参加があった。

  • このなかでSEPについてもパネルがあった。

  • (出張した参加者にとり)興味深かったのはContinentalの力をいれた複数のプレゼン。Continental社の代理人Mike Scarborough弁護士(Sheppard Mullin)が米国での動きについて次のような発言を行った。今回のDOJ/USPTO/NISTのSEP policy statement(PS)の撤回は、DOJからFTCへのSEP論点の移管の要素があり得ると述べていた。曰く、FTCの5名の委員構成がこれまでの2-2(1名欠員)の状態から、委員長を含め民主党系となり、既にKhan委員長やSlaughter委員のPhillipsのITC事案におけるpublic interest submissionを踏まえ、FTCによるSEP案件への積極関与(とそれに伴うDOJの他の他領域への注力)ではないかと述べていた。

  • Continentalの知財責任者Michael Schloegl氏より、現行の各国裁判例(特にドイツ裁判例)に対して権利者の主張だけが認められ、Injunctionが認められることへの批判と、一部の権利者の交渉態度への批判を強く非難するプレゼン(”this is not a negotiation; they are dictating the terms”)があった

  • Access AdvanceのJeff Blumenfeld氏(Acting General Counsel)からは、プールや一部の権利者がSEPポートフォリオ及びFRANDレートの算定方式を公開しているにもかかわらず、規格使用者の中にはそれらの公開情報を調べることもないままFRAND交渉に参加し、これが不知を理由とした時間稼ぎとなっている現状の指摘があり、上記のように意図的に情報収集を怠った企業については「presumed unwilling licensee」と認定される交渉フレームワークの提言もあった。

  • Unified Patent CourtのFRAND訴訟への影響も議論された。Clements Heusch氏(Nokia)から、権利者としては常に複数の裁判所を活用してSEPライセンス戦略を立てているのでUPCが加わったとしてもすべての訴訟がUPCとなることは考えにくいという発言があり、各社とも概ね同調している様子だった。

  • Licensing Negotiation Group (LNG)について、BoschグループのBSH Home Appliance GroupのThomas Buchholz氏より、SisvelとRPXのライセンス事案もLNGの一種と捉えることができると紹介された。 LNGについては依然としてカルテルやボイコット等の競争法上の論点との関係が不明確であることから、欧州委員会等によるセーフハーバーの設計を求める発言もあった。           以上


 
 
 

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