(日)経済産業省SEPを巡る取引研究会(続) METI’s SEP licensing guideline talk continues
- 二又 俊文
- 2022年2月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年2月12日
経済産業省競争環境整備室/知的財産政策室主催で行われている「標準必須特許のライセンスを巡る取引環境の在り方に関する研究会」についてUPDATEする。
昨年より開始された研究会は昨年7月26日に中間整理を公表したあとも継続しており、昨年12月15日には第6回研究会が開催された。法律家、企業の関係者(注1)が参加するが会合はすべて非公開で議事内容は公開されていない。
経産省は交渉過程に関する当事者間での情報提供のありかたや、権利者・実施者双方が則るべき「誠実交渉のルール(誠実交渉指針)」を策定しようとしており、現在意見書募集(注2)が行われている。意見募集からみると、その指針のフレームワークはすでに固まっており、ステップ1(侵害警告)、ステップ2(FRAND条件での契約締結の意思表明)、ステップ3(具体的なライセンス条件の提示)、ステップ4(対案の提示(拒絶する場合))
の4つのステップでのそれぞれ具体的な内容を決め、誠実交渉指針を策定しようとしている。(注2)https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/chitekizaisan/sep_licence
SEPの議論は利害関係が複雑で多くの当事者があることから、多様なインプットとそれに基づく活発な議論を必要とする関係上、欧州や米国で行われる近時のSEPセミナー・Webinarは産官学・企業でのオープンな討論が通例であるが、経産省の場合には依然クローズドな議論で討議内容・討議資料も関係者限りとなっている関係上外部には動きがわかりづらい。
そのなか同研究会の最近の動向に関して海外有力知財ブログのIAMが報道を行った。
”Japanese ministry seeks industry input on SEP negotiation guidelines”(2022年2月7日付)https://www.iam-media.com/frand/japanese-ministry-seeks-industry-input-sep-negotiation-guidelines(有料記事)
IAM記事は昨年7月の中間レポートに触れたあと、第6回会合(2時間)にアップルとエリクソンが呼ばれプレゼンしたこと、パブリック意見募集が始まったことなどを述べたあと、公表された議事要旨などから今回の誠実交渉のルールを策定しようとする狙いを次の3点とみていると述べている。
①交渉における透明性・予見性の向上(これにより日本企業の差止リスクを回避させる)
②日本で将来起こる場合のSEP訴訟に指針をあたえる
③日本からの発信で、グローバルIPルールに影響を与える
また、同記事の最後には特許庁でも並行して進行するSEPのライセンス交渉に関する手引き(2018年)の改訂作業とはSEPという同じテーマを扱うものであり、互いに内容上の不整合が起こり、複雑な事態になるのではないかと懸念していた。
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