(英) InterDigital v. Lenovo グローバルレート判決間近 InterDigital v. Lenovo #2 Global FRAND rate
- 二又 俊文
- 2022年10月1日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年12月6日
イングランドウエールズ高等裁判所(High Court of England and Wales)で本年1月にTrialが行われたInterDigital v. Lenovo UK訴訟(注1)での判決が間近となっている。このなかでUnwired Planet事件で英国最高裁判所(UK Spreme Court)が判じたグローバルFRANDレート(注2)が再び判示されようとしていることで注目が集まっている。
(注1)IDCの3G, 4Gの5件の特許侵害が争われており、EP 2 485 558(’558)とEP 33 55 537(‘537)については2021年にvalid認定されており、EP558のFRAND Trialが近づいている。他の3件はEP 23 63 008, EP 2 557 714, EP 24 21 318 。
(注2)2020年8月26日Unwired Planet v Huawei [2018] EWCA Civ 2344
この事案を巡り9月29日付IAM誌にNgoc Ngo女史がグローバルレートに関する優れた論考を寄せているので紹介する。
Ngoc Ngo氏の主張によれば
1)国別のロイヤリティレートよりグローバルレートが合理的で公平か?
→Reasonale, Fairという視点から検証するに、グローバルレートが合理的で公平である。一方で地域別レート調整に関する議論もある。たとえば中国・インドでは平均端末価格が低い上に、さらにロイヤリティレート調整を加えると二重の調整となり不合理な結果となる。売上にもとづくロイヤリティ調整はあるととしてもまた利益率の違いによるロイヤリティレート調整も同様に不合理か結果を及ぼす。
2)グローバルレートはどう見積もられるべきか?
→ヘドニック回帰法Hedonic regression。不動産の地価などで使われるところの生ずる価値に基づき計算される手法が妥当。当該機能・技術が販売に貢献する度合いなどを販売時期、販売地域で算出し、fair market valueを算定する。算定には比較可能な取引データも考慮する。同訴訟では、3G,4G, 5Gがどう端末販売価格に影響を及ぼしているかを計算する。ヘドニック法では絶対額ではなくパーセンテージでロイヤリティを計算することになる。
3)FRAND差止め
グローバルレートの決定と国別に行われるFRAND差止めとの衝突がありえる。すなわちLenovoの販売のわずか4%しか占めない英国市場における差止めと、70%を占める中国市場における差止めの衝突がある。InterDigitalは差止めを得るには各国ごとに訴訟提起する必要がでてくる。しかし、InterDigitalは中国では臨むような判決を得られないことが予想されるジレンマがある。
グローバルSEPライセンスは答えよりも質問が多い状況で、より複雑さを増している。
Dr. Ngoc Ngo女史はCompetition Dynamics, Incのエコノミスト

Photo: Unsplash thomas Kelley
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