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(速報)インド競争当局CCI v Ericsson最高裁判決 CCI v Ericsson Judgement in Indian SPC

更新日:2025年9月9日

インドの知財事情に詳しいコンサルティングファームAsiaWise Professionalsの奥啓徳氏より、注目されていたインド競争当局(CCI) v Ericssonの最高裁判決の情報をいただいた。その分析と判決文を紹介する。


概要

事件番号 SLP(C) No. 25026/2023。

2025年9月2日、インド最高裁判所は、CCI(インド競争委員会)がデリー高等裁判所の判決に対して行った上告を棄却した(注)。これにより2023年7月13日付のデリーHigh Court高裁Division Bench判決が確定し、12年間続いたCCI対Ericsson事件は終結した。最高裁は本判決において高裁判決を支持することで、「特許法優先の法理」(lex specialis 一般法である競争法に対して特別法である特許法が優先する)を認めている。もっとも最高裁はこれを直接的に判示したわけではなく、本事案はすでに和解によりCCIの手続基盤が失われているため、高裁の判断に介入しないとの立場を取った。また、法的論点については将来の適切な事件で判断される余地も残された。


判決文要旨(5ページ)はPDFとして文末に添付。


(注)判決文の表記上は「CCI v. Monsanto Holdings Private Limited & Ors.」となっているが、これは同種の論点を抱えるMonsanto案件とエリクソン案件を併合審理したため。本文第3項には、被上告人が Telefonaktiebolaget LM Ericsson (Publ) と明記されており、リードケースはエリクソン事件である。


背景と経緯

SEPライセンス紛争Ericssonは2G/3G規格に関する多数の標準必須特許(SEP)を保有し、FRAND条件でライセンスを提供した。これに対し、MicromaxやIntexなどのインド端末メーカーはライセンス条件が不当だと主張し、交渉は決裂。Ericssonは差止請求などの執行措置を提起した。


CCIによる調査インドメーカーはCCIに「支配的地位の濫用」として申立てを行い、CCIは競争法に基づき調査を開始した。


一審(デリー高裁・単独判事)

  • 申立人:Ericsson(CCIに管轄権はないと主張)

  • 被申立人:CCI(管轄権を有すると主張)


    → 判事は特許法を「complete code(包括的制度)」と認めつつも、CCIの調査継続を許可し、Ericssonの申立を棄却した。


高裁(デリー高裁・Division Bench、2023年7月13日)

  • 特許法第16章(Chapter XVI)は完全なコード: 特許法第16章は、ライセンス条件から濫用の是正、調査、救済までを網羅する完結した仕組みである。

  • 特別法優先の原則:特別法である特許法は、一般法である競争法に優先。

  • 後法優先の原則:特許法第16章は競争法の制定後に導入されたため、抵触する場合は特許法が優先。

    → この判断により、CCIの調査命令は全面的に取り消された。


最高裁(2025年9月2日)最高裁はCCIの上告を棄却し、デリー高裁の判断を確定させた。


ポイント

  • 特許権者が特許法に基づいて権利を行使する行為に関する濫用問題は、競争法ではなく特許法の専管事項である。

  • これにより、CCIがSEPライセンス問題に介入する余地が制限され、インドにおけるSEPの執行を注視する日本企業にとっても重要な先例となっている。


参考(ニュース報道)


Photo: Unsplash Naveed _Ahmed
Photo: Unsplash Naveed _Ahmed

執筆:Yoshinori Oku / 奥 啓徳, AsiaWise Professionals

Co-Founder / IP Team Leader

 
 
 

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