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(続)判例解説:英国高裁 Optis v. AppleでApple敗訴  Apple lost the Optis case in U.K.(continued)

更新日:2021年10月4日

英国高等裁判所(一審):Optis v Apple判例要旨 


判示:英国の裁判所が設定するグローバルライセンスを受け入れる事をCommit(約束)しないAppleはUnwillingであり差止が妥当である

SEP保有者Optisと実施者Appleでライセンス交渉が難航し、OptisがAppleを提訴した事案である。Optisは8件のSEPを権利行使し、英国高等裁判所にグローバルライセンス条件(FRAND料率)の設定を求めた。Optisは先ず2件のSEPの有効性と必須性の認定を得た(なお、残り6件の審理はまだ行っていない)。特許権者は特許侵害訴訟で勝訴すれば差止請求を認められるが、FRAND宣言の対象のSEPにおいては、ETSI IPR Policy 6.1条に基づき、実施者がSEP保有者に対しFRANDライセンスを取得する意思(Willing)を示している場合、権利者はその実施者に対し当該技術にアクセスできるようライセンスをオファーする義務があり、これによって実施者は差止を回避出来る(§76)。英国の訴訟では、実施者にはSEP保有者に行使可能な(有効であって必須な)特許権を有することの立証を求める権利がある。その上でFRANDライセンス条件が設定されるTrialに入る。


本事案での論点は、Appleが英国高等裁判所が設定したグローバルライセンス条件を受け入れることをCommit(約束)しないという立場がUnwilling(意思がない)であるかである。裁判所はOptisの主張を認め、Unwillingとしたものの、AppleのFRANDライセンスを得る権利は消滅していないと判示した。更に、以下の事項についても裁判所は判示している。

ETSIのIPRポリシー6.1では特許発明の実施者に対しライセンスにより発明を実施する権利を認めるものであり、ライセンスを有しない実施者には差止され得るという原則を否定するものではない、また、特許侵害訴訟において侵害があることが確認された時点で、実施者にはライセンスを受ける義務が生じる(§278、279)。したがって特許侵害が認定されたAppleは現時点でライセンスを得る義務があり[判決文の強調]、よって来年6月に予定されているFRAND料率を決定するための審理(Trial E)において裁判所が決定する料率を受任することを今、予め約束しなければならない。しかしAppleは約束しないと意思表示しており、そのようなUnwillingな実施者に対しては差止請求権を認めることが、権利者に対する妥当な救済措置である(§288、289)。


裁判所は上述の裁判所の判示内容について考慮する時間がAppleには与えられたが、裁判所が設定したFRAND料率を受け入れるということを約束をしないとの立場を変えないのであれば、差止命令を言い渡すことが妥当であろうとの見解を示した(§344)。なお、実際に差止命令が言い渡されるか否かは、控訴申立も踏まえ、今月、ヒアリングが行われた後に決まる。


英国におけるSEP訴訟では、FRAND料率が争点となった訴訟において、実施者が英国特許(SEP)1件の侵害訴訟で敗訴した場合、実施者は裁判所が決定したSEP保有者のグローバルSEPポートフォリオのライセンスに基づくライセンス料を支払わなければならない。しかし、裁判所の決定するFRAND料率が、本事案だけでなく、他のライセンスの料率にまで影響することを危惧し、Apple は裁判所が料率を示した後でないと、そのライセンスを受けるかどうかの判断が出来ないという立場を取った(§11及びSkeleton Argument)。これに対して、裁判所は来年のTrial E審理で料率が決定した後にAppleがライセンスを拒否した場合ライセンスの更なる遅延が生じ、それはSEP保有者にとっての損失であり、Hold Outとして認められないと判示した。


日高誓子(英国弁護士)Seiko Hidaka, seiko.hidaka@gowlingwlg.com, Gowling WLG, Legal Director-Patent litigator, London

 
 
 

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