日本時間5月19日21:30ー25:20、欧州委員会(EUDG GROW)主催のSEPに関するWebinarが開催された。欧州を中心に世界中からSEPに関係する企業、研究機関、各国当局などから850人あまりが参加し熱心が議論が続いた。今回のWebinarはシリーズの第5回目にあたり、Webinarシリーズ最終回であったが、全体テーマはEnforcement of SEPs-Current bottlenecks and possible solutions(SEPのエンフォースメント、現在のボトルネックとその解決策)のもと、3つのテーマで議論された。
(1)Enforcement of SEPs and SEP licensing negotiations
SEP交渉とエンフォースメントに関する議論
(2)Anti-(anti) suit injunctions: what is the problem and what could be the possible solutions?
訴訟禁止令(ASI)とその解決策
(3)Would international arbitration and/or mediation be a solution and under what conditions?
国際仲裁、調停の可能性
当日のアジェンダは以下のPDFを参照されたい。Webinarでの議論については続報するが、SEP裁判が裁判所にとりいかに負担の大きいものであるかという裁判官側からのキーノートスピーチや、ASIを巡る激論、あるいはTransparency(透明性)に関する議論、そして国際仲裁の可能性の議論など大変興味深い議論が展開された。
当日参加された福岡則子氏(パナソニック)より以下のWeb参加コメントをいただいた。
「今回はSEP Enforcementがテーマでのパネルディスカッションであったが、裁判所で判断できるのは管轄国内での権利行使に限定されるという裁判所の限界と、一方SEP問題は多国間を横断する国際的なビジネスに関係するという課題との関係の複雑さが改めて認識された。 第1議題:「HOLD-OUT/HOLD-UPがなぜ起こるのか、どのように対処すべきか、どうすればGood-Negotiationを促進できるか」という切り口で実施者側・権利者側、弁護士など異なる立場から意見や交渉現状が紹介されとても興味深かった。
第2議題;ASIについて中国・ドイツの事例説明があり、ドイツ裁判官が訴訟提起は基本的な権利でありASIを実施者が提起したことはNot-Willing であることの証明であるとコメントされたこと及び、ASIが多発していることについては裁判所で解決できることではなく政治問題であるとの指摘が印象に残った。
第3議題:仲裁となっており、このAgendaの流れからみてEC委員会の国際仲裁の可能性を重視していることが感じられた。」
Photo: Unsplash Jasper Benning