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新VDPプールと中国企業の動向(知財戦略から) New VDP Pool and Chinese venders

更新日:2025年7月24日

陥りやすい知財戦略での誤解は権利者の戦略か、実施者の戦略か二分法で考える思考である。実際にはこの二分法では変化の激しい時代には行き詰まりに陥るリスクが高い。技術分野、製品分野、地域、時間軸などごとに権利者、実施者としての戦略を柔軟に選別し、ハイブリッド戦略が変化に対応できる。興味深いのは、実施者から権利者に移行しながら、存在感を増す中国企業の戦略である。


その一例を映像コーデックの技術分野でのパテントプールに見る。製品分野としてはテレビ、ストリーミングプレイヤー、スマートフォン、PCなどが関連する。


動画コーデック分野は特許が細分化されて多数の権利者が存在し、パテントプールに属さない権利者が個別訴訟を起こすケースが多発していた。NetflixやAmazonなどは2者間交渉を独自で進めてきたが多くの訴訟に発展していた。Netflix(Broadcomとの複数訴訟、ドイツでは2023年差止め判決など)、またAmazonもNOKIAと訴訟となっていたが2025年に和解成立)。


この背景のなかでボストンを本拠地とするAccess Advance LLC(以下 AA)は、HEVC(H.265)のパテントプール、VVC(H.266)のパテントプールを運営してきたが、2025年初頭にHEVC/VVCに加えてAV1やVP9などを加えてマルチコーデックブリッジング契約(MCBA)を用意し、HEVCとVVC双方のロイヤリティをまとめて割引料金で適用する仕組み新VDP(Video distribution Patent)プールを導入した。


たしかに配信プラットフォームの機能や規模が大きくなるにつれ、世界市場での存在感を増す中国企業にとっては権利侵害リスクがさらに高まっていた。そのなか中国企業のアリババ、ByteDance (字節跳動), Tencent (騰訊), Kuaishou (快手)などは、欧米のNetflixやAmazonとは異なり、AAの新VDP設立直後から積極的に参加し、自社のポートフォリオの充実を進める一方で、パテントプールに権利者サークルに入り、利用者としてのルールメーカーとしての地位確立を目指した。この中国企業の動きに対してパテントプール管理者 AAも、HEVCでは中国企業にさほど重点を置いていなかったが、VCC(H.266)では中国企業の存在が極めて重要な地位を占めるにいたったことで、アーリーバード契約などのインセンティブなどを活用し、積極的に迎入れる動きをとった。


<AAの新VDPロイヤリティー体系>


<Access AdvanceのHEVC AdvanceとVVC Advanceの料率>

2025年7月21日 AAプレス発表



<関連参考記事>

      "Access Advance launches video distribution patent pool"


<補足>

AAが主にデバイス(TV, スマホなど)をライセンス対象とするのに対して、もう一つのパテントプールであるAvanci Videoは主に動画ストリーミングサービスをライセンス対象とする。配信サービス単位(視聴者数などに基づく)のライセンス方針をとっている。Avanci Videoのライセンサーは2025年現在32社、Canon, Ericsson, LG, Panasonic, Sharp, NEC, Vestelなど 中国企業からはHikvision (海康威視), Huawei (華為)が加入している。ライセンシーはNetflixやYouTubeなどが加入している。

Photo: Unsplash, Glenn Carstens-Peters
Photo: Unsplash, Glenn Carstens-Peters

 
 
 

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