USPTOのSEP政策シフトは裁判所をどこまで動かすか? USPTO's New SEP Policy Move the Courts?
- Toshi Futamata
- 3 時間前
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Jan. 2, 2026 by Toshi Futamata
米国USPTOはSEPに関する政策レベルだけでなく、個別事件対応(Radian Memory v. Samsung 事案)を通じて差止救済を維持・強化しようとしている。USPTOの動きは、「SEP権利者による差止救済の復権」と「中小企業を含むSDO参加・交渉環境の整備」への取り組みを伝えている。
USPTOは新たにSEP Working Groupを設置し、SEPを巡る政策を継続的に検討・発信する体制をとった。同ワーキンググループは、特に差止救済など堅牢な特許救済の回復と、SEPライセンス交渉の透明性向上に焦点を当てるとされる。これにより、近年「実施者有利」に傾きがちだった国際的なSEP訴訟・政策環境に対し、米国が明確にプロ・パテント寄りのシグナルを出した形になる。
ワーキンググループの目的は3点に整理できる。
有効特許に対する予測可能で堅牢な救済(特に差止)を回復する方策の検討
中小企業(SMEs)も含めたSDO参加を後押しする仕組みづくり
利害関係者間の対話チャネルの整備と、SEPライセンス交渉の透明性向上に資するリソースの開発
一方、USPTOは、UKIPOのRate Determination Track案のような行政によるFRANDレート決定スキームに対してもエビデンス不足・権利者負担増として批判も強めている。
さらに差止に関するUSPTOのスタンスを象徴する事例として、Radian Memory v. Samsung 事件でUSPTOが出した意見書もある。USPTOは東テキサス連邦地裁にSEP権利者がたとえ自ら実施していない場合でも、合理的ロイヤルティのみでは救済として不十分であり、差止救済を認め得るべきと主張した。その理由として「特許は価値の算定が難しく、損害額の計算も困難なため、不可逆的な損害は特許侵害事件で一般的」という認識を示し、金銭救済偏重の潮流に疑問を投げかけている。
今回のUSPTOの動きはあくまで行政当局の動きであり、直ちに連邦裁判所の判断に影響を及ぼすものではないが、一つの有力な意見・政策シグナルとなるであろう。SEP権利者にとっては「追い風」となる動きかもしれない。


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