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【対話】日本発SEP調停制度を巡るグローバル論争 Debate with IPFRAY: Japan's SEP Mediation

更新日:2月7日

〜「形式的な自発性」か、それとも「FRANDの誠実義務」か〜


今回の東京地裁による「SEP調停(SEPJM)ガイドライン」の公表を受け、昨夜米国の著名知財メディア IPFRAY Florian Mueller氏 との間で、昨夜非常に本質的な公開討論がLinkedIN誌上で行われました。その論点を実務的な視点から整理します。


公開討論のリンク(英文):


序論:議論の火種

筆者が指摘した4つの誤解のうち、IPFRAYは特にvoluntaryの箇所で強く反論してきました。

東京地裁のガイドラインには、「調停が不成立に終わった場合、不参加の事実や調停案拒否の経緯を裁判記録に残し、後の訴訟で証拠として利用できる」という一文があります。これに対し、IP Frayは「拒否したことで不利益(Negative consequence)を被るリスクがあるなら、それはもはや自発的(Voluntary)な調停ではない」と猛烈な批判を展開しました。


対話の核心:3つの決定的論点

1. 「一般的な調停」 vs 「SEP特有の法理 (Unique Animal)」

  • IP Frayの主張: 西洋の調停(Western Mediation)は完全な秘匿性が大前提。拒否しても裁判官はそれを知るべきではない。

  • 私の反論: 一般の民事事案とは異なり、SEPは実装した瞬間に権利者・実施者双方に「誠実交渉義務(Reciprocal duty of good-faith)」が発生する特殊な領域です。この義務を果たす意思があるか(Willingness)を検証する仕組みは、SEPの世界では不可欠なインフラです。


2. 「不利益」か、それとも「事実の可視化」か

  • IP Frayの主張: 拒否した事実が裁判官に伝わること自体が、不当な圧力(Coercion)である。

  • 私の反論: 記録に残るのはあくまで「客観的な事実(Documented record of conduct)」です。正当な理由(FRAND-based justification)を持って拒否したのであれば、それは不誠実とはみなされません。透明性を恐れるのは、交渉の不透明さを利用して「時間稼ぎ(Hold-out)」を狙う側だけではないでしょうか。


3. 米国・欧州の実態 (Global Reality)

  • IP Frayの主張: 米国の裁判官は調停の中身を一切知らない。日本のやり方はグローバルスタンダードから逸脱している。

  • 私の反論: 形式的にはそうでも、実務上、FRAND訴訟では「これまでの交渉経緯(Negotiation history)」が詳細に吟味されます。日本はそれを「言った言わない」の泥沼にさせず、制度として透明化・予見性を高めようとしているに過ぎません。


結論:SEP訴訟は「ビジネスの解決」を目指すべき

今回の議論を通じて再確認したのは、SEP紛争の本質は「どちらが勝つか」というゼロサムゲームではなく、「いかにバランスの取れたビジネス的な結着(Balanced commercial settlement)を見つけるか」という点です。


IP Frayが固執する「形式的な(調停)定義」は、スピードの速い現代のビジネス環境(5G/6G)においては、もはや解決を遅らせる要因になりかねません。日本の提案する「第3の道(Third Way)」は、誠実なビジネスパートナー同士が迅速に合意に至るための現実的な取り組みとなり得るモデルと思います。(将来への解決すべき課題はまだありますが)。


あとがき(私自身の視点)

議論は並行線を辿るかもしれませんが、重要なのは古い法理論に閉じこもらず、変化する時代に即した実務を模索し続けることです。国内外の多様な意見に耳を傾けつつ、今後も日本発のこの試みがグローバルでどう評価されていくか、注視していきたいと思います。





 
 
 

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