上海の知財コンサルタント会社PATPUB執行董事 Jay Wei(韋嘉)が中国企業のSEP戦略をプレゼンテーションしました。略語など多用されていますので、当日通訳をしていただいた李 永虎(TRY国際特許業務法人代表)の解説メモを最初につけます。
(Timelineのスライド)(1)現時点は4G(LTE)から5G(NR)へ、H.265 (HEVC)から H.266(VVC)への移行段階に入っており、後発者の地位は依然弱い。
(2)スマホメーカーでの勝敗はほぼ終わり、中小メーカーは消滅した
(3)コロナ時代になり電気自動車(EV)の販売台数が大きく伸び、EV企業がライセンス市場の主要なターゲットになりつつある。
(4)現段階で中国企業は国内ビジネスが主で、中国企業のSEPの保有シェアも欧米企業に比べ少ない。中国政府もプロパテント政策を取っているとは思えない。中国には特許ライセンス業務を遂行できる人材も不足している。
(Is China-for-China a thing yet?のスライド)
略語集:MNC外国企業、CHC中国企業、CNIPA(中国特許庁)
China-for-China 外国企業が中国特許を使い、中国企業の国内ビジネスからライセンス料を得るモデル。
図にしめす5つのモデルは、上から「中国企業が中国特許を使い、外国企業の中国ビジネスからライセンス料を獲得するモデル」→ほぼライセンス料は無理。
上から2つ目は「外国企業が中国特許を使い、中国企業の国内ビジネスからライセンス料を得るモデル」→少しもらえる。
上から3つ目は「外国企業が中国以外の特許を使い、中国企業の国外ビジネスからライセンス料を獲得するモデル」→結構貰える。
上から4つ目は「中国企業が中国以外の特許を使い、外国企業の中国以外のビジネスからライセンス料を獲得するモデル」→ほぼ貰えない。
上から5つ目は「中国企業が全世界の特許を使い、中国企業の全世界でのビジネスからライセンス料を獲得するモデル」→貰える。
Jay Wei氏のコメント:China-for-Chinaモデルはこの10年変化なく、外国企業は中国企業からライセンス料をほとんど得られない。中国企業同士のパテントプール構築の動きはあったが、2019年後半から頓挫している。中国企業におけるライセンス支払いへの予算は相当に枯渇している。2・3年前にすでに得た米欧企業はラッキー。
ファーウエイはここ一年米国で攻撃的な動きをしているが、ファーウエイは他の中国企業とは全く異なり、異質。他の中国企業がファーウエイのようになることはないだろう。
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