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WTOにおけるEUと中国のSEP係争決着? EU-China SEP Dispute in WTO resolved?

中国の知財状況に詳しく、米国上院知財委員会でも証言を行う米UC BerkeleyフェローのMark Cohen氏が2026年4月3日付のブログ記事で、WTOに提訴されたDS611(中国によるASI発出)とDS632(中国によるグローバルレート決定)に関する論評を掲載している。貴重な分析であるので引用紹介する。



EUと中国のWTOでのSEPを巡る係争は2件ある。特にグローバルレートを中国が一方的に決めることに強く反発したEUが提訴したDS632事案が第2事案として極めて重要なテーマであるが、中国はむしろ第1事案のASI(禁訴令)を巡るDS611についてのみ、表面上は撤回し、「玉虫色」決着を図ろうとしているとみられる。


1)DS611(禁訴令を巡る争い)

EUがWTOに「中国のASI(訴訟差止命令)はSEP権利者に不利だ」と提訴し、2025年7月に中国敗訴の裁定(DS611)が出た。これを受けて中国は2025年9月に「ASI政策を撤回した」とWTOに報告し、EUも2026年4月1日にそれを公表した。

Cohen氏の評価:「表向きは撤退、実態は曖昧」


前向きな点

  • 裁定後、新たな中国ASIの発令事例はない

  • WTOの紛争解決メカニズムへの尊重姿勢は示した

懸念される点

  • SPC(最高人民法院)のウェブサイトを検索しても撤回通知が見当たらない(透明性問題が裁定の核心だったのに)

  • ASI法理を紹介・称賛するSPCの資料は現在も残っている

  • 過去のASI実績(武漢中院の小米対InterDigital事件など)を公式に否定していない


Cohen氏は将来また使える可能性を残すため、完全な撤回宣言を避けていると見ている。


2)DS632(中国によるグローバルレート設定を巡る争い)

今後の注目点

DS632(中国が外国特許を含むグローバルSEPレートを一方的に設定できるかを問うWTO紛争)のパネルが2026年3月に設置済み。日本も第三国としてその影響に対して権利留保している。まだ結論は出ておらず、引き続き注視が必要。

 
 
 

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