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プロテリアル(旧日立金属)最高人民法院で逆転勝訴​ PROTERIAL (Former Hitachi Metals) reverse victory at the SPC China​

更新日:2024年1月26日

プロテリアル(旧日立金属)が重要技術のネオジム燃焼磁石のライセンス許諾をしないことが、中国地場企業から訴えられ、一審の寧波中級人民法院で2021年4月に日立金属が敗訴していた。日立金属(当時)はその後最高人民法院に上告し、2023年12月逆転勝訴していたことが判明した。本日プロテリアル(旧日立金属)が本件についてプレス発表をおこなっているので紹介する。

本日時点で最高人民法院の判決はまだ開示されていない。


2021年の寧波中級人民法院の判決は当該特許をSEPのように認定し、ライセンス拒否を独禁法上の支配的地位の濫用として日立金属の敗訴を判示したものであるが、独占禁止法の適用を極めて恣意的におこなった憂慮すべき判決だった。当ブログもその後も事件の推移を注視していた。判決文の詳細がまだ手元にないため詳細は不明であるが、本日のプロテリアルプレス発表にあるように、最高人民法院が一審の誤りを取り消す判決行ったことは歓迎できる。プロテリアル関係者が3年以上にわたり粘り強く本件に向き合ってきたことに敬意を表する。2021年当時寧波法院での勝訴については商務部など公的機関も熱心に報じていたが今回はまったく報道がない。


なお中国事情に詳しい読者の方からも本報道についてコメントいただいたので紹介する。

「中国政府は、2021年10月に所謂「中国標準2035」を制定しており、①国際標準制定への影響力強化、②国家標準と国際標準の一致率(85%、2025年まで)を掲げております。最高人民法院も当該国家戦略の影響下にあり、私見ではありますが、最高人民法院でSEP関連判決について、国家戦略への整合性(国家戦略への司法での貢献)を図っていると感じます。その意味で、寧波法院の判決は、海外諸国からの非難を惹起する可能性があり、是正を図ったようにも思われます。

 ASIについて欧州員会にWTOに提訴されてから慎重に対応している面もありますが、

一方で、独禁法と知財権とが関係する領域で、積極的にルール改正や意見募集を行っており、欧米と少し違った動きも感じられます。中国企業は権利者としての側面も増えつつあり、SEPの実施者と権利者の両面で理論構築を行っているように思われます。」

 


これまで本ブログが本件について行った過去の報道

2022年3月7日

日立金属事件(続)中国最高人民法院初の不可欠施設理論で大詰め Hitachi Metal 1st. essential facilities dispute in SPC


2021年6月18日

日立金属 中国「標準」訴訟(続報) Chinese Court 1st. Mandatory licensing for Essential Facility doctrine


2021年6月3日

日立金属 中国での「標準」訴訟に敗訴 Hitachi Metal lost "standard" case in  China


なお、本判決については日本経済新聞1月20日付が報じていたが、当ブログは現地側ならびに関係者の発表を確認するため、裏付けのとれるまで報道を控えていた。また、日経記事は「中国での独禁訴訟 技術流出の懸念減る」と報じているが、今回の判決は異常な判決が上級審により取消された事案にすぎず、これをもって技術流出の懸念が減るとまで断じるのは過言であると考える。



 
 
 

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