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日立金属 中国での「標準」訴訟に敗訴 Hitachi Metal lost "standard" case in  China

更新日:2021年6月4日

SEP知財事件ではないが、標準技術としてFRAND条件でのライセンスが要求され、7年越しで中国で争われてきた事案で日立金属が敗訴した。ネジウム磁石に関する日立金属の保有特許が業界必須特許の「必需特許」にあたり、そのライセンス拒否は市場支配的地位の濫用として独占禁止法違反と判示された。

興味深い事案ではじめに背景を説明する。日立金属のネオジム磁石(永久磁石)は世界トップクラスの磁力で中国でも高いシェアを誇っていた。2015年2月にはライセンス先の一社であった中科三環と合弁会社を設立していた。しかし、同じ頃寧波科田磁業社を含む中国永久磁石関係企業 4 社がライセンスを受けられないことを不満として日立金属を提訴した。今回の判決は膨大・複雑であるが、IP FORWARD法律事務所の本橋たえ子弁護士が詳しい解説を提供していただいたので引用紹介する。添付PDFファイル(全7ページ)を参照いただきたい。

2021_日立金属事件
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Photo: Unsplash Dan-Cristian Paduret


ブログ筆者補足:必需特許について

日立金属の技術独占を打破しようする中国企業4社は連合体を組み、日立の保有する必需特許に対して訴訟を仕掛けた。詳細は不明であるが、日立金属のデファクト標準のようにも映る。中国企業側の論理はエッセンシャルファシリティ(注)論に類似した主張にも聞こえる。いずれにしても公益を武器にライセンス拒絶を独占禁止法違反にまで仕上げている。日本や米国の独占禁止法ではかなり無理筋のロジックであろう。

(注)Essential Facility(不可欠な設備)

あるサービスを提供するために不可欠な施設等で、他の競争者が参入する際に容易に同等のものを用意できないものを指す。ボトルネックファシリティ、不可欠施設とも呼ばれる。例えば、通信産業の回線網や電力産業の配電・送電設備、特定サービスに不可欠な知的財産権などがこれにあたる。エッセンシャルファシリティを要する産業分野においては、公正な競争を促進するため、エッセンシャルファシリティの公正な利用や必要な情報提供義務などが必要となる。(exBuzzwords)


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