(中)禁訴令に関する民事訴訟法の改正が国際論議を呼ぶ New Judicial battle regarding ASI by Amending Chinese Civil Procedure Law
- 二又 俊文
- 2023年1月27日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年1月30日
ASI(中国語で禁訴令)は各国の裁判管轄権が国際的に対立する場面であるが、中国で頻発したASI事案はその後もWTOの場で欧米と中国との間で意見の対立が続いている。
そのような動きのなか、中国においてASIの法的根拠となっている民事訴訟法について新たな動きがでた。2022年12月30日に「民事訴訟法」改正草案が発表され、それに対して2022年12月30日から2023年1月28日意見募集が進行をしている。
今回の改正の主眼は、ASIの応酬をはじめとする国際裁判管轄の争いが激化するなか、『国際裁判管轄の合意に関するハーグ条約』の批准を控えた中国の主権が手続上侵害されないようにすることに置かれている。さらに従来の規定では中国裁判所が管轄権異議を却下するか、認容するかの2択であったことに加え、3択目として訴訟審理を中断(中文では「中止」)できるようにして、海外裁判所の状況により中国裁判所が審理を再開できるようにできる修正(新283条)も加わっている(注)。
中国民事訴訟法の改正案について、2022年12月30日から2023年1月28日まで意見募集が行われているがその公式リンクはhttp://www.npc.gov.cn/flcaw/flca/ff808181844230ec0185612c16b27450/attachment.pdf
ただし、リンク切れの場合には次の非公式リンク(NPC Observer)から読めるhttps://npcobserver.com/legislation/civil-procedure-law/
改正案の対比表は専門誌Lexologyにある(ただし中文)https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=18071d08-9c59-46f0-99b9-e93d5e80f01c
(注)仮訳
十八、一条を追加し、第二百八十三条とする:「外国裁判所は中華人民共和国
人民法院より先に受理し、本法の規定に基づいて外国裁判所の判決が中華人民
共和国人民法院に承認される可能性がある場合、当事者の書面申請を経て、中
華人民共和国人民法院は訴訟を中止することができるが、以下のいずれかの状
況が存在する場合を除く:
「(一)当事者協議は中華人民共和国人民法院の管轄を選択し、又は紛争は中
華人民共和国裁判所の専属管轄に属する、
「(二)中華人民共和国人民法院による審理は明らかに便利である。
「外国の裁判所が必要な措置を講じずに事件を審理し、または合理的な期限内
に結審できない場合は、当事者の書面による申請に基づいて、訴訟を回復する 。
「外国の裁判所の判決、裁定は、すでに中華人民共和国人民法院によってすべ
てまたは一部承認され、承認された一部の当事者がまた中華人民共和国人民法
院に起訴した場合、受理せず、受理された裁定は起訴を却下する」
(原文)
十八、增加一条,作为第二百八十三条: “外国法院先于中华人民共和国人民法院
受理,且根据本法的规定外国法院判决可能被中华人民共和国人民法院承认的,经
当事人书面申请,中华人民共和国人民法院可以中止诉讼,但存在下列情形之一的
除外:
“(一)当事人协议选择中华人民共和国人民法院管辖,或者纠纷属于中华人民共和
国法院专属管辖;
“(二)由中华人民共和国人民法院审理明显更为方便。
“外国法院未采取必要措施审理案件,或者无法在合理期限内审结的,依当事人的
书面申请,恢复诉讼。
“外国法院判决、裁定,已经被中华人民共和国人民法院全部或部分承认,对已经
获得承认的部分当事人又向中华人民共和国人民法院起诉的,不予受理,已经受理
的裁定驳回起诉。”
本記事の作成にあたっては前JETRO香港事務所松本要氏(現特許庁)のアドバイスをいただいた。
Comentarios