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(中) 華為Huaweiの活発なライセンス活動 Various year-end IP stories of Huawei

毎年クリスマスから年末にかけては世界中で駆け込みのさまざまな出来事が起こるのが知財業界の常である。EricssonとAppleの電撃和解もあったが、今年の年末の動きの中心は華為(ファーウエイ)であろう。本年3月の任CEOの新知財方針発表(注1)にもあるように華為はライセンサーとしての立場を明確に押し出し、知財方針の転換が伺えるが、そのなかで華為のライセンス戦略を見ると3つのモデルから組み立てているように見える。競業他社とは2社間クロスライセンス、OEMにはモジュール販売を組み合わせたライセンス供与、さらにIoTではパテントプールを活用するのではなかろうか。

なおこの記事は公知情報を元に筆者の責任でまとめたもので、筆者の推測も一部含まれる。



1.同業種ライバルとのライセンス戦略(2社間交渉クロスライセンス)

ライバル企業とのライセンス戦略は近年厳しい交渉を行っている。とくにサムスンとは2019年以来の厳しい契約交渉であったが、12月9日両社のライセンス契約を延長し、5G技術も含めることとした。

さらにOPPOともライセンス契約を締結したことが発表された(注2)

さらに12月23日ノキアとの契約(注3)についても、2017年締結していた5年契約を再度延長したことが両社から発表された。しかし、その条件詳細は発表されていない。


(注2)Nikkei Asia 12月9日付 ”Huawei licenses key 5G tech to Oppo, Samsung amid U.S. crackdown”https://asia.nikkei.com/Business/China-tech/Huawei-licenses-key-5G-tech-to-Oppo-Samsung-amid-U.S.-crackdown

(注3)両社プレス発表については華為https://www.huawei.com/en/news/2022/12/license-agreement-ipr

しかし、極めて短い発表であることから両社の間に依然ライセンス条件を巡る緊張関係が続いているように見える。


2.車産業とのライセンス戦略(2社間でモジュール販売とライセンス供与)

過去よりファーウエイは車業界との5Gライセンスに取り組んできており、2020年5月にはファーウエイと中国OEM18社(FAW Group中国一汽, Changan Automobile東風汽車, Dongfeng Motor Corporation上海汽車, and SAIC Motor 上汽モーターなど)が “5G Automotive Ecosystem”を結成し、5Gに対応できるため5G on-board module MH5000と5G o-board terminal T-Box platformを提供することにした。さらにこれを2021年7月には独フォルクスワーゲンへのサプライヤーにも供給を決めていた(社名は非公開)。

本年に入りさらにOEMへのライセンス活動の加速を行った結果、本年末現在OEM9社(Mercedes Benz, Audi, BMW, Renault, Suzuki, Subaru, Porsche, Lamborghini, Bentley)との4Gライセンス契約が締結された。

このOEM9社はAvanciの4G platformからライセンスを受けているが、華為はAvanciのプラットフォームには加入していない。(注4)

たしかに中国はEVで世界一の連続販売台数を誇るが(注5)、当面は4Gまでが中心で5Gのライセンス活動にはまだ至っていないように見える。


(注4)Current State and Emerging Challenges of SEP Licensing for Intelligent Connected Vehicles in China (I)

by Linda Liu & Partners 北京林達劉知識産権代理事務所

中国のEV車販売は連続7年世界1位を続け、2021年には350万台販売され、うち31万台は輸出された。(工信部発表、新華社2022年1月12日)



3.IoTでのライセンス戦略(パテントプール)?

IoT分野のようにライセンシーが幅広く、特定しづらい場合にはパテントプールのフレームワークは有用であることは知られている。

華為はIoTでSisvelが立ち上げたWi-Fi6のプール(注6)ではそのFounding memberとして、プールの中心メンバーの役割を果たそうとしている。


 
 
 

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