SEPについて4G,5Gが重要であると同様に、WiFiも極めて重要な技術分野である。そのWiFiのSEPについて、6月18日北京で興味深いプレス発表会が行われた。JETRO香港事務所の松本知財部長より情報提供をもとに詳報する。
発表されたのは「Wi-Fi SEPのライセンスモデル研究報告書」(智能家电及 IoT 行业 Wi-Fi 标准必要专利许可模式研究报告)。
報告は、北京知財司法保護研究会の王明達会長、北京知財司法保護研究会副会長で中南財経法大学前学長の呉漢東副会長、北京知財司法保護研究会副会長で北京大学法学院教授易継明副会長ら11名の専門家から構成され、美的集団、小米集団、ハイアール、ハイセンス、紫光展鋭の5つの企業の責任者と共同で執筆された。100人近くの業界代表者と実務専門家がこのプレスリリースに参加し、報告発表を見守った。
北京知財司法保護研究会の公式ページ(中文)
いくつかの重要な討議ポイントが挙げられている:
WiFi SEPのライセンス問題は緊急かつ困難なテーマ
スマート家電で最も広大な市場は中国、スマート家電でライセンスモデルを作り上げればIoT全体に拡張できる。
中国のスマート家電企業がリードできる知財戦略の共同研究を行い、中国の知財保護環境の発展に共同で貢献し、中国ブランドの世界的な影響力を強化する。
世界中の実際の訴訟事案を実証的に検証し、グローバルなトレンドを分析してゆく
(中国として)目指すライセンスモデルは極めて斬新なものを考えている。すなわちSEP権利者、SEP実施者、チップメーカーの三者が共同で作り上げるモデル(3つのWin)である。
当日のプレゼンテーターと発言は以下の通り
美的集团高级知识产权顾问 张娜
美的の消費者向け製品・サービスとビジネス向け業務について紹介し、美的IoTがグループ全体のスマート化戦略の重要なプラットフォームであり、住居全体のスマートソリューションとスマートユーザーの行動に関する研究に取り組んでいることを紹介した。
北京奥维云网大数据科技股份有限公司(クラウドネットワークビックデータテクノロジー)总裁助理兼研究创新部总经理 赵梅梅
Wi-Fiモジュールが家電製品の末端価格に与える影響について紹介した。Wi-Fiモジュールの機能は、将来のスマート家電の発展のトレンドであるが、小売端末の観点からは消費者に対してプレミアムをもたらす能力は限定的であると述べた。
海信集团(ハイセンス)法务与知识产权部副总经理 张重立
海尔优家(ハイアール)标准专利部总监王淼
伝統的な家電メーカーは、SEPの交渉とライセンス供与の経験が不足しており、この報告の発表は時宜にかなうものであり、家電業界が問題を直視することができ、関連するライセンスモデルを試してみることをいとわないことを意味すると述べた。
小米集团(シャオミー)法务部知识产权诉讼总监 庄子昂
本報告の意図はSEPのライセンス供与プロセスにおいて「複数の当事者が皆負ける」状況を回避することであると強調した。
Photo: Unsplash Zhang Kaiyv