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(中・欧)華為とエリクソンのクロスライセンス契約(中国の見方)Cross License Agreement between Huawei and Ericsson(China view)

更新日:2023年9月6日

ファーウエイ(華為)とエリクソンの5Gクロス契約更新については単に2社間の契約にとどまらず、これからの情報通信技術を巡る欧州と中国のの両巨頭がどういう位置づけにあり、これから6Gにむけ中国はどう進んで行こうとしているのかを窺わせる大きなできごとであった。

すでに当ブログでは既報(注)であるが、今回中国側が今回のクロスライセンスをどう見ているのかCNIPA知財発展研究中心副研究員の記事(8月30日付)が掲載されている。

記事ではSEPの価値を再認識している点や、クロスライセンスでの対価(訂正:エリクソンは本年華為からの知財収入を含む1500億円が入るが、実際にが華為からエリクソンに動いたかは不明、ただ業界筋では数百億円ではなく、数十億円とみる見方が有力)を算定するため、両者が2016年契約ではSEP件数比較であったが、2023年契約ではさらに詳しい比較算出を行なっていることがわかるほか、6Gに向かっての中国としての取組課題も具体的に述べられ大変興味深い記事となっている。



中国のブログ紙新浪網に執筆したのはCNIPA(特許庁にあたる組織)研究所の王雷副研究員。

Huawei Ericsson特許の「握手」とは何ですか?」


同氏は今回のクロスライセンス契約について整理分析を行ったあと、中国における今後の5G・6Gに取り組むべき課題について述べている。


  • 標準必須特許(SEP)は純金・プラチナの価値がある。SEPがあることは「高速道路で料金所を持つ」ことと同じ。

  • エリクソンはアップルとのライセンス契約で2022年第4四半期に70億元(約1400億円)の収入を得る。 今回の華為・エリクソンのクロスライセンス契約により、エリクソンは2023年に約110億スウェーデンクローナ(約73億6000万元、日本円で1500億円)の知財収入を得ると予想される。

  • SEPを持つことは、通信業界での競争に勝つために必要な条件

  • モバイル通信業界の特許の中核は特許品質

2016年契約ではSEP数が基準となったが、2023年のクロスライセンス契約では、両者のボートフォリオを比較する要素が変更された。2016年の華為とエリクソン間のクロスライセンス契約と比較して、両当事者が合意に達するための条件をさらに緻密にした。

  • 主要な考慮要素:

  1. 標準化団体での5G提案件数(5G的标准提案数量)

  2. 出荷数(出货量) 

  3. 特許の実際の製品かライセンスに関する貢献価値(专利发挥价值是通过实体产品还是货币化的专利收费)

  4. 特許訴訟における無効に対抗する強さ(拥有的专利在专利诉讼中抵御专利无效的强度) 

  5. 保有特許数(拥有的专利在专利)

同氏は今後中国の情報通信分野の企業が留意すべきこと、5G/6Gで取り組む課題について以下のように述べている。今後の技術開発への狙いが伺える。

  • ETSIにおけるSEP宣言数には自己申告であるがゆえにバイアスがかかっている。将来的にSEPの中核を効果的に改善し、市場検査に耐えることができる中核特許改善に注力する必要がある

  • 中国の通信業界は、1997年のTD-SCDMA(中国の3G規格)から20年で、1876年設立のエリクソンと肩を並べるところまできた。

  • 5Gの後には6Gがある。中国の通信産業は次のレベルまで高めなければならない。

  • 世界中の6G通信テクノロジーでは70,000超が特許出願され、中国はそのうち約28,000の特許出願し39.8%を占め、USP出願は17,000を超え24.7%を占め、韓国(8989件、13%) 、日本(8016件、11%)、ヨーロッパ(6670件、9%)である。米国のQualcommは、3988件の出願と世界で1位を保持している。Huaweiは3,435件を出願し世界2位

  • 6G通信技術には、航空テクノロジー、ネットワークアーキテクチャテクノロジー、グリーンエネルギーテクノロジー、ワイヤレスAIテクノロジーが注目される

  • この4つの主要なレベルには、合計19の基礎となるテクノロジー分野がある

  • そのなかでも“超大规模MIMO”、“全双工(Full Duplex)”、“正交时频空(OTFS)波形”、“唤醒Wake-up接收机”、“终端辅助节能(UE auxiliary energy conservation省エネ通信)”など5項目では特許出願数も少なく、中国にとりチャンスが大きい


本記事は松本要氏(前JETRO香港駐在、現特許庁)からいただいた情報をもとに二又の文責で執筆された。

 
 
 

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