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2022年回顧 2022 Year in review

更新日:2022年12月31日

2022年もSEPを巡る世界の動きは留まることなく活発であった。世界各地で開かれた知財フォーラムでもSEPは常にトップトピックの一つにあった。地域別のSEP動向を回顧したい。

Thank you for being a reader our expert blog. As 2022 draws to a close, we’re looking back on a momentous year at our blog.

1)2022年の米国におけるSEP回顧

2022年の米国でのSEPの動きを振り返るなら、一番目立ったのはSEP政策を巡る動向であった。

新政権のもとでSEPを巡る反トラスト法の適用のあり方で議論が再燃するなか、2021 Draft Policy Statement(PS)がDOJ, USPTO, NIST共同で6月8日に発表された。しかし、権利者・実施者の対立はさらに激化し、結局2021年PS draftも、2019年PSも共に撤回され、反トラスト法の適用については中立neutral保持, ケースバイケースということで玉虫色の決着となった。ポリシー関連の動きとしてはさらにAvanci Poolに関するDOJのビジネスレビューレターに対して、10月17日実施者側が見直しを要求する意見書を出したのに対して(注1)、11月30日には権利者側から反論の意見書が出た(注2)。また、年末ぎりぎりだったが、実施者寄りとして権利者から批判の強かったIEEEのパテントポリシー(2015年)が来年1月より改定されるということになった。

SEPを巡る訴訟を見るなら、最大の事案はEricsson v. Appleであった。

米国ではテキサス東地裁、テキサス西地裁、そしてUSITCで争われたが、Apple不利の形成のなか結局12月9日にEricssonとAppleはグローバルなライセンスを締結し、長い係争は終結した(注3)。

参考 米国関連の回顧ブログ

IP Watchdog, Dec. 20, 2022

"The Top U.S. FRAND / RAND Licensing Developments of 2022: Policy Statements, Patent Pools and IEEE Changes" https://ipwatchdog.com/2022/12/20/the-top-u-s-frand-rand-licensing-developments-of-2022-policy-statements-patent-pools-and-ieee-changes/id=154040/

2)2022年の欧州におけるSEP回顧

欧州の有力知財専門誌Juve Patent newsletter Dec.21, 2022,が今年の10大ケースを選定しており、そのうち4件がSEP関連であるので、それを紹介する。


Top 10 patent cases in Europe 2022

  1. Apple and Ericsson’s head-to-head over 5G patents ends abruptly

 両社の係争の開戦は2021年秋オランダ・ハーグ地裁とベルギー地裁で開始された。

米国での訴訟と同時に欧州での訴訟は拡大し、独マンハイム地裁、ミュンヘン地裁でも争われた。その後12月9日の突然の和解で終結した。

2. Intellectual Ventures visible in French courts against multiple opponents

2022年米Intellectual Ventures はフランスオペレータのBouygues Telecom, Société Française du Radiotéléphone(SFR)をパリで提訴したが敗訴した。

  1. Nokia faces Oppo over 3G, 4G and 5G patents in Europe

欧州(英国、ドイツ、スペイン、フランス、中国、インド、スウエーデン、フィンランド、オランダ)でのNokia v. Oppoの3G, 4G, 5Gを巡る大型訴訟。OPPOは2018年7月1日から2021年6月30日までノキアよりライセンスを受けていたが、その更改が揉め、ノキアがSEPとNon-SEPでOPPOを提訴した。2021年7月1日ノキアはUK高院で提訴。これに対してOPPOは中国重慶中院で提訴、重慶中院はグローバルレートを定めることができると判示した。

訴訟はその後、ドイツマンハイム、オランダハーグに拡大。ミュンヘン地裁ではOPPOをunwilling licenseeと認定し、ノキアが勝訴した。

  1. UK prepares for second major FRAND decision in Interdigital vs. Lenovo

InterDigital v. Lenovo英国高等法院訴訟。James Mellor判事(UK High Court, Deputy presiding judge)のFRANDレートの判決が間近。2022年1月Trialが行われた。2020年のUnwired Planet v. Huawei(2017, 2020)以来2度目のFRANDレート判決が行われることが予想されている。

3)今年の中国におけるSEP回顧

注目されるのは華為Huaweiのライセンス戦略の転換が公式に発表されたことで、従来実施者としての振る舞いであったものが、権利者としての振る舞いに戦略転換してきたである。SEPポートフォリオについてもますます充実させていることから今後の台風の目となるのではなかろうか。

 関連当ブログ

 11月23日 任正非 華為CEO知財戦略の転換を宣言

もう一つ注目されるのは、2020年に中国で多く出された禁訴令(ASI)が2021年には皆無となったものの、

そのリスクが残ることを危惧する欧州が禁訴令についてWTOにパネル設置を要求した動きが2022年にも継続していることであろう。現在パネル設置をもとめる欧州とそれに反対する中国の綱引きとなっている。

3つ目に注目されるのは、8月1日に施行された新独占禁止法のもと、その附則にあたるガイドラインで

SEPの権利行使に対する様々な規制が織り込まれており、SEPの運用を中国が恣意的にコントロールするのではなかろうかという疑念を欧米企業に抱かせている

4)2022年の日本におけるSEP回顧

9月21日にAvanci と日系カーメーカーとのライセンス締結が発表されたのが一番大きな出来事だろう。Avanciのプールプログラムは4Gまでをカバーしており、一台あたり$15の料率となっている。日系カーメーカーは最後までAvanciからのライセンスを拒み交渉が難航をしていたが、差し止めのリスクが大きくなるなか日本と韓国のカーメーカーがライセンスを取得した。


本年もう一つのニュースは5月16日の経済産業省による「標準必須特許のライセンスに関する誠実交渉指針」と、6月に発表された特許庁の「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」である。経産省の新たなガイドラインは1年に亘る様々な議論の結果、権利者・実施者の利害バランスにも考慮を加えつつ新たなガイドラインを発表した。


関連当ブログ

6月25日 日本経済新聞「異業種間の特許交渉、乱立する指針、企業に戸惑いも」

7月4日 特許庁SEP手引改訂版発表

2月12日 経済産業省SEPを巡る取引研究会(続)

https://ipr-study.wixsite.com/sep-research-japan/post/経済産業省sepを巡る取引研究会-続)


Photo: Wix




 
 
 

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