Geely車セルラーロイヤリティ決定を中国裁判所に求める Geely seeks global FRAND rate for Nokia cellular SEPs in China
- Toshi Futamata
- 15 時間前
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Jan. 27 2026 by Toshi Futamata
中国の有力OEM Geelyグループの車セルラーロイヤリティを巡る「二正面作戦」係争が注目を集めている。Geely (吉利控股グループ)は年間400万台あまりを販売する世界7-8位のOEMで、傘下にはVolvoを有する。今回の係争はAvanciのライセンサーであるNokiaとの訴訟である。
1. Nokia訴訟とGeely
2025年7月18日、NokiaはGeelyグループに対し、4G/5G SEP侵害訴訟をUPCミュンヘンLD、UPCマンハイムLD、そしてミュンヘン地裁で同時に提起した。2025年8月6日に更新されたUPCマンハイムLDの資料によれば、訴訟対象にはZeekr、Lynk & Co、Lotus、Smartを含む32法人が含まれ、Geelyの主要な海外展開ブランドが一斉に標的となっている。
2. 一部だけAvanciライセンスという「ねじれ」
Geelyグループの中で、VolvoとPolestarは既にAvanci Vehicleの4G/5Gライセンスを取得している一方、今回訴えられたZeekr、Lynk & Co、Lotus、Smartは未ライセンスのままであると報じられている。
3. 杭州中院でのグローバルFRANDレート裁定訴訟
Nokiaによる欧州訴訟の直後、Geelyは2025年7月22日に杭州中級人民法院でNokiaポートフォリオに関するFRANDレート決定訴訟((2025) 浙01知民初83号)を提起した。
Geelyは2G・3G・4G・5GおよびWLANを含むNokiaのSEP群について、中国を含む世界全体を対象とするグローバルFRANDロイヤルティ率とその他条件を、裁判所に設定してもらうことを求めている。
2026年1月15日付のHogan Lovellsのdefence recordでは、Geelyは杭州中院の裁定するFRAND条件を受け入れる意思を示している点を強調し、自らをwilling licenseeとして位置づけている。
4. 中国裁判所によるグローバルFRANDを設定した先例3件
Geelyが杭州中院を選んだ背景には、中国裁判所が既にグローバルFRANDレートを設定した判例実績がある。
• 2021年の重慶OPPO対Nokia事件では、重慶第1中院がNokiaの5G SEPについて世界をゾーン分けし、Zone1で端末1台あたり1.151ドル、Zone2/3で0.707ドルといった具体的グローバルレートを示した。
• 2022年のOPPO対InterDigital関連事件の最高人民法院決定では、中国裁判所が一定の関連性があればグローバルライセンス条件(FRAND料率を含む)を決める管轄権を有することが再確認された。
• 2023年のACT対OPPO事件では、最高人民法院が比較可能ライセンスを用いて極めて低いFRANDレートを認定し、中国がFRANDレート算定に積極的に踏み込む姿勢を示している。
5. Geely戦略の読み方
Geelyは、一部ブランドのみAvanciに加入させつつ、未加入ブランドについてはNokia訴訟を受けながら、中国の杭州中院でグローバルFRANDレートの裁定を求めるという「二正面作戦」を選択した。
これは、欧州での訴訟圧力を受け止めつつ、中国裁判所のグローバルFRAND先例をテコに、NokiaおよびAvanciに対する全体的なレート水準を引き下げ、将来的なグループ全体のライセンス再編(プール+個別ライセンス)の交渉力を高める試みと見ることができる。Avanciプログラムには中国ではBYDをはじめ5社がすでに加入したと言われているが、中国汽車技術研究中心(CATARC)や中国汽車工程学会(CSAE)は、会員メーカーに対し「Avanciとは契約せず、Avanci提示額の10%程度のレートしか受け入れるべきでない」と働きかけていたと報じられている。
参考情報
PRIP/Ma Blog 2026年1月26日付
IAM 2026年1月26日付
"Geely seeking global FRAND rate for Nokia cellular SEPs in China"
IPFRAY 2025年12月10日付



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