SEP研究会 中国編セミナー実施報告 SEP Seminar(China Session) in Tokyo
先月9月15日に開催されたSEP研究会隔月会セミナーには、中国から知財界で現役ご活躍中のお二人(企業人と法曹人)に来日いただき、近時の中国のSEP動向についてプレゼンテーションをいただいた。共通して見えてきたのは、中国の知財の景色がこの4・5年で大きく変化し、確実に権利者への道が見えてきたことでした。
吴立(Dr. Li Wu)氏 Senior Partner, Lifang & Partners(北京市立方律师事务所)「Evolution of the SEP Landscape in China(中国SEP诉讼格局的演变)」
多くの主要SEP紛争に実際に代理人として関与してきた吴氏が、中国のSEP訴訟の実務と変遷を、具体的な事件に即して解説しました。
取り上げられたのは、移動通信ではZTE対Samsung(ミュンヘンの差止命令、英国高等法院の3.92億ドル、重慶の7.31億ドルと、三法域の判断が並立)とHuawei対MediaTek(チップセット対最終製品のライセンスレベル、2025年10月和解)、コネクテッドカーではBYDおよびGeelyとAvanciプール構成員との紛争(Geelyの全球暫定ライセンス申請とUPCによるAASI発令を含む)、映像コーデックではTCL・DahuaとAccess Advanceの事件です。
中国企業は実施者から、権利者・実施者・クロスライセンスの当事者を兼ねる「均衡的な参加者」へと三段階で変化しており、今後の5大トレンドとして、グローバル料率の管轄から判決間の衝突・調整へ、原則的なFRAND判断から精緻な評価へ、料率の高低からライセンスモデルの設計へ、といった流れが整理されました。
柯晓鹏(Sean Ke)氏 Patent Legal Director, Alibaba Group「SEP Landscape and Practice from a Chinese Industry Perspective」
業界歴26年(Foxconn、ZTE、NXP、Visionox、Alibaba)で、『IP之道』の共著者でもある柯氏が、中国企業の視点からSEPの現状と今後を論じました。
中国企業はかつての実施者中心から、権利者・実施者・パテントプール参加者という複数の立場を併せ持つ存在へ変化しています。自動車(Avanci)、映像配信(Access AdvanceのVDP)、メモリ、太陽光(TOPCon)といったプール形成への動きが紹介され、特にVDPについては、シナリオ別の料率設計をプールにおけるFRAND要件と位置付ける独自の見解が示されました。また、中国の裁判所が約12〜18か月で判断する、グローバル料率を争える有力な法廷になったことを踏まえ、法廷地選択は戦略的判断になると指摘されました。
さらに、社内IP人材の成熟が戦略の高度化をもたらしたこと、2026〜2030年にはストリーミングと自動車が主戦場となり、AI・6Gの標準化も始まること、中国企業が将来的にネット・ライセンサーとなる可能性が高いことなど、5つの展望が示されました。
プレゼンテーションをいただき、また資料掲載に同意いただいたお二人に感謝いたします。


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