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( SEP研究会セミナー)SEP重要判例研究(7件検討)前編   7 Must-Know SEP Cases(Part 1)

5月14日に開催されたSEP研究会セミナー「必ず押さえるべきSEPの重要判例7件〜いまさら聞けないSEP基礎判例」の資料を公開します。5人の専門家に登壇いただき、この5年の重要SEP判例7件を検討する非常に密度の高い研究会となりました。

 

資料を前編・後編の2回に分けて掲載します。ご登壇いただいたスピーカーの皆さん、ご参加いただいた皆さんに感謝申し上げます。

 

前編 グローバルFRANDレートの算出と管轄を巡る攻防・ASI

l  英国:UK Supreme Court — Unwired Planet v Huawei事件 (小西恵弁理士)

l  中国:Nokia v Oppo事件(重慶中級人民法院)(遠藤誠弁護士)

l  米国:HTC v Ericsson事件 (中所昌司弁護士)

l  米国:Ericsson v Lenovo事件 (中所昌司弁護士)

 

後編  Willing Licensee基準・日本の展開

l  独(BGH):Sisvel v Haier事件(第一・第二判決)(高橋弘史弁理士)

l  欧州(UPC):Panasonic v Oppo事件 (高橋弘史弁理士)

l  日本:Pantech v Google事件(東京地裁)(設楽隆一弁護士)

 

はじめに概略紹介をつけています。各発表者のスライドをダウンロードください。


1.     🇬🇧英国:UK Supreme Court — Unwired Planet v Huawei  2021年8月判決確定 (発表者:小西恵弁理士)

(ブログ筆者イントロ)

 英国最高裁は本件において、英国裁判所がグローバルFRANDライセンスの条件——すなわちロイヤルティレートを含む——を決定する管轄権を有することを明確に認めた。SEP保有者が英国特許の侵害を主張している場合であっても、裁判所はその地理的範囲を超えたグローバル条件を設定しうるというものである。

さらに重要なのは、実施者側がこのグローバルFRANDライセンスの受諾を拒否した場合、英国特許に基づく条件付差止命令(FRAND injunction)の対象となりうるという判断である。この差止命令はFRANDライセンス締結により即時解除されるものであり、実施者には「グローバルFRANDライセンスを締結するか、英国市場から退くか」という選択肢が示される。

 

2.     🇨🇳中国:Nokia v Oppo(重慶中級人民法院)2023年 (発表者:遠藤誠弁護士)

(ブログ筆者イントロ)

 中国・重慶の裁判所が、グローバルFRAND料率を自ら設定する権限を宣言した初めての中国判決である。Nokia v. OPPO(2023年)の実質的な意義は、アジアの実施者が欧州中心の権利行使戦略に対し、中国法院での先行提訴によってグローバル料率を先取り確定させるという反攻オプションを現実化したことにある。SEP訴訟のフォーラム選択戦略において中国法域は「回避すべきリスク」ではなく「戦略的に活用しうるオプション」として再定義されつつある。

 

3.     🇺🇸米国:HTC v Ericsson、第5巡回区、2021年(発表者:中所昌司弁護士)

(ブログ筆者イントロ)

 本件は、実施者HTCがEricssonのFRAND義務違反を主張して提訴したが、陪審・地裁・控訴審のいずれもEricssonのFRAND義務遵守を認定した事案である。

実体面で最も重要な判示は二点ある。第一に、ETSIのIPRポリシー(フランス法準拠)はFRAND算定においてSSPPU(本件ではベースバンド・プロセッサ)に基づくロイヤルティを義務付けてはいないこと。第二に、FRANDライセンスの算定について固定的・必須の方法論は存在せず、交渉経緯を含む個別事案の具体的事実に依拠して判断されるという立場の確認である。

 HTCのSSPPU論が退けられた理由は手続・実体の両面にわたる。手続面では、EricssonのFRAND義務はETSIとの契約(フランス法)に由来するにもかかわらず、HTCは陪審への指示において米国特許損害賠償法の判例を根拠としており、法的根拠として失当とされた。実体面では、SEP侵害の損害算定局面でのapportionmentとFRANDライセンス交渉の公正合理性評価とは性格が異なること、また業界の実際のライセンス慣行においてはベースバンド・プロセッサではなく端末価格が算定基礎とされていることが指摘された。裁判所は比較可能ライセンスをSEP価値の最も有力な市場ベースの証拠と位置付け、これに基づくEricssonの二つのオファーはいずれもFRANDの範囲内と結論付けた。

 要するに本件は、「SSPPUを算定基礎とすることが義務であるとの主張は認められにくい」という傾向を確認した事案であり、SSPPUを絶対的に排除したものではない。方法論の選択はあくまで事案の具体的事情に委ねられるという米国アプローチの基本姿勢を改めて示した判決として位置付けるのが正確である。

 

4.     🇺🇸米国:Ericsson v Lenovo, Federal Circuit, 2024年(発表者:中所昌司弁護士)

(ブログ筆者イントロ)本件では、実施者(Lenovo)が、特許権者(Ericsson)による外国(コロンビア・ブラジル)での差止執行を禁止するASIを米国連邦地裁に申し立てた。地裁はASI第1要件の充足を否定して申立てを棄却したが、CAFCはこれを破棄し、第1要件を従来より緩やかに解釈して充足を肯定した上で、第2・第3要件の審理のために差し戻した。本件は、実施者側によるASI申立ての適格性に道を開いた判決である。

 
 
 

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