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シズベルがWi‑Fiマルチモード特許プールを立ち上げ Sisvel's Wi-Fi multimode Patent Pool

Jan. 25, 2026 by Toshi Futamata


シスベル(Sisvel)は2026年1月、Wi‑Fi 6およびWi‑Fi 7の標準必須特許(SEP)を対象とする「Wi‑Fi Multimode」特許プールを立ち上げたと発表した。 1つのライセンス契約で複数世代のWi‑Fi技術に関する必須特許をまとめて取得できる点が特徴である。


Sisivel Press release(1月22日付)


現時点でのライセンサーは以下の10社である。Huawei、KPN、Mitsubishi Electric、Orange、Panasonic、Philips、Aegis 11 SA(Sisvel関連会社)、SK Telecom、Wilus、ZTE。https://www.wifipatentpool.com


このプールは、2022年開始のWi‑Fi 6特許プールの後継と位置付けられており、Wi‑Fi 6プールは過去にAcer、Netgear、Cisco、HPなどを含む約40社とライセンス契約を締結してきたとされている。


シスベルはWi‑Fi 6/7 Multimodeについて、以下の1台当たり定額ロイヤリティを提示している。

ユースケース別

Compliant rate

Standard rate

Wi-Fi Finished Products

$0.50-0.60(注)

$0.60-0.72

Enterprise Access Points

$1.00-1.20

$1.20-1.44

(注)Wi‑Fi 6については、従来プールから引き続き、コンシューマ製品で0.50ドル(コンプライアントレート)という水準を維持している。Wi‑Fi 7を含むマルチモードライセンスについては0.60ドルからとされており、Wi‑Fi 6に対して0.10ドル程度の上乗せにとどまっている。また、よく見られる市場別のロイヤリティはなく、世界一律となっている。


また、協調的なライセンシーにインセンティブを与える「LIFT(Licensing Incentive Framework for Technologies)」を本プログラムでも導入していると説明している。 さらに、ソニーグループがWi‑Fi Multimodeプログラムに基づくライセンスを取得したことも明らかにされている。


Wi‑Fi Multimodeプールの5つのポイント(ブログ解説)


第一に、ロイヤリティ負担の配分である。エンタープライズ向けアクセスポイントには1台あたり1.00〜1.20ドル(コンプライアント)、1.20〜1.44ドル(スタンダード)という比較的高い水準が設定されている一方、スマートフォンやPCなどを含む一般Finished Products向けは0.50〜0.60ドルというレンジに抑えられており、高価な業務用機器よりも、数量が多い民生機器の負担を低めに設計しているように見える。


第二に、Wi‑Fi 7(802.11be)普及のタイミングとの整合性である。Wi‑Fi 7は2024年頃からハイエンドスマートフォンで搭載が始まり、ルーターは2025年頃から本格的に市場投入が進んでいることから、2025年がWi‑Fi 7普及元年と位置付けられる。 この局面で、シスベルがWi‑Fi 6と7を一括でカバーするマルチモードプールを提示したことは、今後数年のWi‑Fi 6/7実装需要をプール経由で取り込む戦略を明確化した動きと評価できる。


第三に、ライセンサーの顔ぶれとプール外の有力企業の存在である。Multimodeプールには10社の特許オーナーが参加し、先行するWi‑Fi 6プールも約40社とのライセンス実績を有する一方で、Qualcommのような有力SEPホルダーは現時点でプール外にとどまっている。 そのため、本プールは「Wi‑Fi SEPの総元締め」ではなく、比較的低めのレートでマルチモード・ライセンスを提示する一つのオプションとして機能しているにすぎないといえる。


第四に、二段構成のレートとコンプライアント優遇のメッセージである。ロイヤリティ表は、0.50/0.60ドルと0.60/0.72ドル、1.00/1.20ドルと1.20/1.44ドルという二段構成であり、Compliant rateとStandard rateを明確に分けている。 詳細な適用条件は公開されていないが、LIFTスキームとあわせて、「早期に契約し、きちんと支払うライセンシーを優遇する」という姿勢を前面に出した設計であると読める。


最後に、ソニーの参加が持つシグナル効果である。ソニーグループはテレビ、ゲーム機、オーディオなどWi‑Fi搭載製品を多数展開する代表的実装者であり、そのソニーが早期にWi‑Fi Multimodeライセンスを取得したことは、本プールが一定の条件の下で実装企業にとって現実的な選択肢となり得ることを示している。 他方で、これが直ちに「シスベルプール=Wi‑Fi SEPライセンスの唯一のベンチマーク」を意味するわけではなく、あくまで10社の権利者との関係を効率的にクリアするためのツールとして位置付けられるべきである。


今後の注目点としては中国メーカーの動向であろう。

 
 
 

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