中国SEP ASIに関するWTO裁定下る WTO Ruling on China's SEP ASI Reached
- toshifutamata0
- 1 日前
- 読了時間: 2分
このWTO仲裁裁定(中国による知的財産権執行措置に関するEU提訴事件/DS611)は、2025年7月21日に発表されたもので、中国の裁判所が外国裁判所での標準必須特許(SEP)紛争に対して「禁訴令(Anti-Suit Injunction, ASI)」を発することがWTOルール(TRIPS協定)に整合的かが争点であった。
WTOパネル(第1審)は2025年4月、中国のASI政策がTRIPS協定違反であることをEU側が十分に立証できていないと判断し、EUの主張の多くを退けた。これに対し、EUは上訴(現在WTO上訴機能は停止されているなかで、代わりに導入されたMPIA仲裁)し、仲裁判断ではパネル判断の4点を支持した一方で、3点については結論を変更した。
WTO発表 仲裁結果文書(全42ページ) 7月21日付
China-Enforcement of Intellectual Property Right, Arbitration under Article 25 of the DSU.
Award of the Arbitrations.
仲裁判断は、中国の一部ASI政策がTRIPS協定と整合していないとし、中国側に制度の改善(TRIPS協定との整合性確保)を勧告した。今回の仲裁判断で、EUの一部主張が認められてことで、中国裁判所のASI発令(禁訴令)がWTOルール違反と国際的に認定されたことの意義は大きい。しかし、中国側の主張にも一定の理由があると裁定されている(注)。
中国にとっては、ASI発令自体が即時無効になるわけではないが、運用改善が求められると解される。さらに、知財権
知財権の越境講師や禁訴令の出し方に国際的な基準が生まれた意義は大きい。
<欧州委員会声明>WTOの仲裁結果を歓迎
<中国商務部声明>中国語
(注)中国の主張が認められた点:China's anti-suit injunctions did not affect other WTO members' protection of patent rights and that they do not fall under the category of intellectual property enforcement measures governed by WTO rules.
<関連参考記事>
ロイター通信(7月22日付)
WTO、EUと中国の知財紛争巡り一部判断覆す
Michael Ma blog(7月23日付)

Comments