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内閣府「知的財産推進計画2025」及び「新たな国際標準戦略」 Cabinet Office "Intellectual Property Promotion Plan 2025" and "New International Standard Strategy"

更新日:4 日前

2025年6月3日に開催された知的財産戦略本部会合で、「知的財産推進計画2025」及び「新たな国際標準戦略」が決定された。


「新たな国際標準戦略:国際社会の課題解決に向けた我が国の標準戦略」 [PDF:67ページ]https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2025/pdf/kokusaisenryaku.pdf

「新たな国際標準戦略」は、国際標準を通じた国際社会や日本の課題解決、経済安全保障への貢献、市場創出を実現するためのものとしています。


「「新たな国際標準戦略」のポイント」[PDF:8 pages]https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2025/pdf/kokusaisenryaku_point.pdf

「新たな国際標準戦略(国際社会の課題解決に向けた我が国の標準戦略)概要」 [PDF:1page]https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2025/pdf/kokusaisenryaku_gaiyo.pdf


引用終わり*********************************


<ブログ筆者コメント>

標準戦略は標準をつくること(標準化)がゴールではない。標準をツールとして使ってどのように日本の国際競争力を維持、向上させ、事業(ビジネス)を発展するかにある。今回の「新たな国際標準戦略」についてグローバル知財の変遷を長らく見つめてきた一専門家としてのコメントを残したい。


標準戦略は、一般に以下の4つのフェーズで構成される。

• 第1フェーズ:開発研究者による標準化技術の創出

• 第2フェーズ:標準規格策定機関における標準化

• 第3フェーズ:標準化技術に関する知的財産権の取得(例:標準必須特許=SEP)

• 第4フェーズ:SEP等をめぐる交渉・係争・ライセンス管理などのビジネス展開


今回の内閣府「新たな国際標準戦略」では、標準化の戦略的重要性を踏まえ、重点分野および戦略的領域の選定を行い、国際標準化活動への積極的な関与を不可欠とする姿勢が明記されています。この点は評価できるものです。


しかしながら、同戦略で示されている施策は、第1および第2フェーズに主眼が置かれており、第3・第4フェーズについての具体的な言及や戦略的視点は乏しいように見受けられます。これは、世界の主要国や先端企業が、技術競争から市場競争、さらには標準を軸としたエコシステム競争へと移行しているグローバルな現実を見落としていると言わざるを得ません。


特に、SEPやパテントプールへの警戒的記述(P.10)は、国際的に巨大かつ広範なエコシステムによって市場が形成される現在のビジネスの実情と乖離しており、標準戦略を第1・第2フェーズに限定する印象すら与えます。


また、報告書では「オープン&クローズ戦略」が推奨されていますが、この概念自体、既に20年以上前から議論されてきたものであり、現在の国際競争環境とは必ずしも整合的とは言えません。議論はこの20年でさらに深化しています。標準化は単なる技術の競争ではなく、知財を基盤としたビジネス競争であることを見失ってはなりません。


「デジタル小作人」(日本経済新聞)という表現に象徴されるように、日本が標準戦略を見失ったまま、グローバルな標準エコシステム構築に出遅れている現状を直視し、より実態に即した、知財とビジネスを統合した標準化戦略の再構築が強く求められます。


コメント終わり*******************************

 
 
 

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