(論考)Pantech v Google事件に関する藤野論文 English commentary on Pantech v Google cases
- Toshi Futamata
- 3月16日
- 読了時間: 3分
March 16, 2026
パンテック対グーグル事件の東京地裁判決に関する藤野仁三氏(元東京理科大学教授)による英文論考をいただいたので転載する。便宜のため、ブログ筆者による日本語要約も加える。
""Court Granted SEP Injunction First Time in Japan ―Implementers Need to Abide by Case Law Approach―" (AIPPI Journal, Vol. 51, No. 1)掲載。
This post reproduces an English commentary by Jinzo Fujino, former Professor at Tokyo University of Science, on the decision of the Tokyo District Court in the Pantech v. Google case.
The article, titled “Court Granted SEP Injunction First Time in Japan — Implementers Need to Abide by Case Law Approach,” was published in the January issue of the AIPPI Journal (Vol. 51, No. 1).
【論考紹介】日本におけるSEP差止法理の転換点:Pantech対Google事件の多角的分析
日本初のSEP差止認容となったPantech対Google事件(2025年)を題材に、実施者に求められる「誠実な交渉者」としての具体的要件が、従来の抽象的な意思表明から、「裁判所が提示する算定枠組みへの実務的な適応」へとシフトした過程を分析している。
1. 交渉プロセスの「3フェーズ分析」と不誠実性の認定基準
筆者は、SEPライセンス交渉を以下の3つの段階に区分し、それぞれのフェーズにおける当事者の義務を明確化している。
第1フェーズ(NDA交渉): 秘密保持契約の締結
第2フェーズ(当事者間交渉): ポートフォリオライセンスの直接協議
第3フェーズ(裁判所主導の和解交渉): 提訴後の司法関与による調整
本論考は、被告(実施者)が初期段階で誠実な態度を示していたとしても、最終的な裁判上の和解プロセスにおいて、裁判所が指針とする算定方式(大合議方式)を拒否し、算定の基礎となる売上データの開示を怠ったことが「不誠実(Unwilling)」認定の決定的要因となった点を指摘する。
2. 東京地裁と大阪地裁の判断の乖離:時間的射程の重要性
また、藤野氏は同一特許を巡る大阪地裁での否定例(差止棄却)との比較を通じ、司法判断の安定性についても言及しています。 大阪地裁が実施者を「誠実」と認めたのは、判断の対象期間を第2フェーズ(当事者間交渉)までに限定したためであり、対して東京地裁が「口頭弁論終結時まで」の全プロセスを評価対象としたことが、結論を分かつ鍵となったと整理している。
3. 確立された「司法の規範」に従うこと
本論考の結論として、著者は今後のSEP実務において実施者は単なる「交渉意思の表明」に留まらず、裁判所が判例を通じて確立した定型的な算定ルールや証拠開示要求に従うことが不可欠であると説いている。この視点は、2026年1月に公表された東京地裁の「SEP訴訟審理要領」や「SEP調停(SEPJM)」において、証拠提出の拒否を不誠実とみなす運用の理論的背景を理解する上で重要な示唆を与えるものである。
日本語要約文責:二又俊文


コメント