SEP研究会 2023年度ワークショップ(開催報告)
Report on SEP Global Workshop 2024
1.本ワークショップの概要
標準必須特許(SEP)を巡る議論は新たな段階を迎えています。欧州ではUPC(統一特許裁判所)が発足したほか、欧州委員会からSEPに関する新法案が上程されたほか、知財強国を目指す中国の国家戦略を前に米国や韓国も相次いで国家標準戦略を発表するなど、SEPを巡る環境はグローバルに変化し、Avanciなどのパテントプールの動きも注目された年でした。SEPを巡る係争も依然続いているものの、新たな訴訟提起・判決より、むしろ大型ライセンス契約の締結・訴訟終結など収束の動きが目立った年でもありました。
活動11年目を迎えるSEP(標準必須特許)研究会は、本年慶應義塾大学知的財産フォーラムと共催で恒例の年次ワークショップを実施し、SEPを巡るグローバル動向を振り返りました。
プログラムでは冒頭、この一年の世界のSEP訴訟の状況について松永弁護士がイントロを務めたあと、本年から発足のUPC(統一特許裁判所)ミュンヘン支部のZigann判事がキーノートスピーカーとしてご登壇いただき、さらに米国からは上院知財委員会でも知財政策について提言するカリフォルニア大バークレー校のMark Cohen氏が米中の知財関係の現状と課題についてご講演いただきました。さらに香港JETROから島田英昭知財部長が今後重要性を増す中国のSEを巡る現地動向を講演いただきました。そのあと池田毅弁護士からはSEPと競争法について講演いただき、最後に日本企業の立場から日本電気株式会社譽田裕丈統轄部長にお話いただきました。
2.実施要綱
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2024年3月18日(月) 13:00〜18:00
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主催:SEP研究会、慶應義塾大学知的財産フォーラム
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後援:経済産業省、特許庁、一般社団法人 日本知的財産協会(JIPA)、一般社団法人日本国際知的財産保護協会(AIPPI JAPAN)、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート (KGRI)
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会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎・5階ホール
3.プログラム (敬称略)
■開会挨拶 君嶋 祐子(慶應義塾大学法学部 教授)
■来賓挨拶 猪俣 明彦(経済産業省 経済産業政策局 知的財産政策室長)
■講演「この一年の世界SEP訴訟動向」
松永 章吾(ゾンデルホフ・アインゼル法律特許事務所 パートナー・弁護士・弁理士)
■基調講演(英語)「EUにおけるSEP訴訟-最近の動向」
Matthias Zigann (欧州統一特許裁判所(UPC)ミュンヘン支部判事、ドイツ・ミュンヘン高等裁判所第38民事部(知的財産)部総括判事)
※日本語による概要の説明: 紋谷 崇俊 (西村あさひ法律事務所 カウンセル・弁護士・弁理士・NY州弁護士)
■講演(英語)「米国から見える中国の知財SEP政策の行方(禁訴令、グローバルFRANDレート)」(仮題)
Mark Cohen(カリフォルニア州立大学バークレー校アジア知財プロジェクトディレクター)
※日本語による概要の説明: 二又 俊文 (SEP研究会 座長)
■講演「中国の知財強国への道〜国家知財施策と中国企業動向」
島田 英昭(独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)香港事務所 知的財産部長)
■講演「競争法とSEP」
池田 毅(池田・染谷法律事務所 代表パートナー・弁護士)
■講演「SEPと日本企業」
譽田 裕丈(日本電気株式会社知的財産部門 渉外統括部長)
■クロージング 二又 俊文(SEP研究会座長・東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員)